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G大阪は“理想と現実”の配分変えて8試合7勝1分の快進撃…1ゴール1PK奪取の石毛秀樹が語る変化

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FW石毛秀樹

[8.6 J1第22節 川崎F 3-4 G大阪 等々力]

 壮絶な打ち合いの口火を切ったゴールとなった。ガンバ大阪川崎フロンターレに4-3で勝利し、直近8試合で7勝1分。先制ゴールと2点目につながるPK奪取で貢献したFW石毛秀樹は「最後はああいう形で勝てて、本当にいまチーム状態がすごくいい。それがきょうもまた結果に出た」と手応えを語った。

 序盤は川崎Fにペースを握られたが、チャンスで決め切ったのはG大阪だった。前半27分、右サイドを抜け出したFWファン・アラーノがクロスを上げると、PA内のファーサイドで石毛が収める。「力がずっと抜け続けていた感覚。フリーだったので一回トラップして打とうかなと。ファーは消されていたので、ニアに蹴ればいけそうだなと思って、変に力を入れずに蹴り込めた」。ニアサイドの絶妙なコースに放ったボールは、ポストに当たりながらゴールに吸い込まれた。

 その後同点に追いつかれるが、前半30分には石毛が再びチャンスを作る。右サイドのDF高尾瑠からパスが入ると、「入る道筋は見えていた。お互いにわかっていたところだった」と石毛が反応。PA右角に入ったボールにMFジョアン・シミッチが先に向かったが、「後ろから行った僕にシミッチ選手が気づいていないのはわかっていた。先にボールに触れることができればと思って足を出しました」。先にボールに触れた石毛がシミッチに倒される。敵陣内でのファウルでPKを獲得。FWイッサム・ジェバリが決め切り、2-1と勝ち越した。

 G大阪は前半41分にアラーノが3点目を奪い、3-1で後半に折り返す。後半26分、30分と2失点を喫して3-3と同点に追いつかれるが、後半アディショナルタイムにMFダワンがヘディングシュートを決め切り、4-3で激闘を制した。攻守に走り続けた石毛は後半43分に途中交代。ピッチ外で勝利を見届けた。

 チームは開幕14試合で1勝のみだった。一時は最下位に沈んだが、その後は直近8試合で7勝1分と絶好調。今シーズンからチームを率いるダニエル・ポヤトス監督のもと、序盤に求めた理想のサッカーから柔軟に切り替えた現実路線が功を奏している。「相手を完璧に崩し切ってやりたいというところがもちろんある。それが自分たちの理想ではある」(石毛)。自陣からつなぐ“理想”は据え置き、状況次第で後方から最前線につなぐシンプルな“現実路線”も取り入れた。

「序盤戦は崩し切るところで結局ミスが起きて、失点して負ける展開が多かった。だからはっきり割り切るようにした。今日もピッチが良くなかったので、後ろでリスクを冒すよりも、背後に蹴ってジェバリを使った。簡単にやるということをやりだして、エラーからの失点がまず減った。失点が減ればやっぱり勝つ確率は上がる」(石毛)

 勢いがつけばチームのメンタルも上向きになる。決勝点を挙げたダワンは劣勢の時間帯で耐え抜いた点に「チームメイトみんなが意思統一して耐えれた。みんなのメンタルが成長してきた」と口にする。石毛も「相手に後半ボールを持たれまくって失点もしましたけど、負けちゃいそうだなという感覚がなかった。みんなで負ける感覚がないと思いながらやれているのもいいところ」と同様のことを語っていた。

 序盤の苦戦が響いたものの、最下位から順位を上げ続けて12位まで浮上。それでも石毛は「上位にいるわけではないので」と気を引き締める。「これを続けていくしかない。ひとつでも順位を上げていく作業を繰り返していくしかない。3連勝だからどうこうもなく、これを4、5、6と伸ばしていけるように。また準備してやっていくだけだなと思っています」。謙虚な姿勢からにじみ出る自信とともに、さらなる躍進を誓った。

(取材・文 石川祐介)
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