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G大阪の好調支えるインテリオール山本悠樹、最前線ジェバリを見ながら意識するオフ・ザ・ボールの動き

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MF山本悠樹

[8.6 J1第22節 川崎F 3-4 G大阪 等々力]

 90分間を走り切り、そして最後に決勝ゴールをアシストした。後半アディショナルタイムにMFダワンのヘディングシュートをお膳立てしたガンバ大阪MF山本悠樹は、試合後にサポーターから新チャントを受け取る。「ここの選手になってよかったと思える瞬間のひとつ。すごく感謝したい」と喜びを語った。

 前半13分には味方のゴールを演出した。右サイドでMFファン・アラーノがボールを持つと、山本が中盤から全速力で最前線まで駆ける。川崎フロンターレの守備陣を押し込むと、その一歩手前にスペースができた。フリーになったFWイッサム・ジェバリはアラーノのクロスを収めきれなかったが、さらにファーサイドでフリーになっていたMF石毛秀樹が冷静にトラップ。狙いすましたシュートで先制ゴールを決め切った。

 インサイドハーフで先発した山本は、トップ下気味にプレーしつつ、オフ・ザ・ボールの巧みな動きを見せた。意識するのは最前線に張るジェバリの動き。「ジェバリが低い位置にいるとき、ゴール前に誰もいなくなるとちょっと怖さに欠ける。ジェバリが落ちてきたらそこは早く気づいてあげて、最前線に入るというのは、インテリオールに入ったときに意識的にやっていた」。ポストプレーヤーとして躍動するジェバリを、相手の守備陣は要警戒。だからこそ山本が動く。「1点目もボールが来るかなと思ったけど、結果的に相手が下がって、ジェバリたちが空いた。そういう意味ではよかった」と手応えを語った。

 先制に成功したG大阪は前半を3-1で折り返すが、後半に2失点を喫し、3-3で90分間が経過。すると後半アディショナルタイムに試合が動く。左CKを山本が蹴り込むと、ダワンが強烈なヘディングシュートを決めた。石毛と山本で蹴り分けていたCKだが、インスイング担当の山本がダワンの決勝点をアシスト。その場で雄叫びをあげながら拳を握りしめた。「ダワンが向こう(ゴール裏)に行っていたので、行くのも大変やと思って。嬉しかったですけど時間もちょいあったので、気を引き締める意味でもあんまり行かんとこうと」。最後まで冷静に試合を締め切った。

 開幕14試合で白星ひとつだったG大阪だが、直近8試合で7勝1分と好調を維持する。今シーズンからチームを率いるダニエル・ポヤトス監督のもと、一時は最下位に沈んだが、遅れながらもようやくチームが整い始めた。

「ダニのやりたいことがすごく浸透してきている。みんなが的確に立ち位置を取っているときは、自分も比較的無理せずにシンプルにやるだけ。相手の嫌な攻撃ができている感覚があるので、それはすごくダニになって変わったことだなと思う」

 山本自身も無敗の直近8試合で定位置を掴んだ。「自分のリズムが勝ちとともに出てきてはいる。チームとしても個人としても手応えはあります」。ひとつ課題を挙げるなら結果を残せていないこと。「まだ点は取っていない。そういう数字がもう少しついてくると、というのもある。今日みたいにゴール前に最後入っていく、ゴールエリアの中まで入っていく機会が増えてくると、得点は出てくるのかなと。そこは後半戦で特に意識しながらやりたいです」。チームの躍進を自身の成長にもつなげるつもりだ。

 敵地のゴール裏には多くのG大阪サポーターが集まり、この日には山本のチャントが響いた。試合前にも気づいていたというがアップ中で反応できず。「手を挙げたりとか応えられなくて、立ち止まれなくて、申し訳なかった」。しかし試合後にはその歌声を笑顔で浴び、「ああやって歌ってもらえて、すごく感謝したい」と思いを伝えた。サポーターの気持ちに応えるためにも活躍を誓う。「もうひとつふたつ、気を引き締めてやらないといけない立場になった」と意気込みを口にした。

(取材・文 石川祐介)
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