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「デビュー当初の勢いがなくなってきた」J1新人最長出場がゆえの葛藤も…横浜FC林幸多郎が豪快ボレー弾

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同点ゴールを挙げたMF林幸多郎

[8.26 J1第25節 横浜FC 4-1 横浜FM ニッパツ]

 大卒新人が首位との“横浜ダービー”で大仕事をやってのけた。横浜FCは王者横浜F・マリノスに序盤に先制を許すが、同36分にMF林幸多郎の豪快ボレーで同点に戻す。勢いを手にしたまま逆転勝利を飾った。林は「 僕にそういう技術はない。たまたま」と冗談めかしつつ、「ああいう場面で、ああいうゴールを決めたことは本当に自信になる」と手応えを語った。

 残留を争う横浜FCと、優勝争いで首位を走る横浜FMとのダービーマッチは、今季2度目となった。最初の対戦で0-5の大敗を喫した横浜FCは、今節でも前半9分にFWアンデルソン・ロペスにゴールを決められた。

 しかし、嫌なムードを払しょくしたのはルーキーだった。横浜FCは前半36分に左CKのチャンスを得るが、クリアされてしまう。ボールはPA手前へ。待ち構えたのは林だ。「ある意味ゾーンに入っていた」林はワンバウンドしたボールを豪快に右足でボレー。「いつもの自分だったら、なかなかそこでシュートという選択肢を多分しない」。アウト回転がかかったボールはゴール右隅に突き刺さった。

 明治大卒業後、今季のデビューから2点目をマークしたが林の喜びは控えめ。「自分自身もちょっとびっくりしていた。なかなか大きくリアクションできなかった」と試合後にその理由を明かした。

 今季のJ1リーグで戦うルーキーの中では最長の出場時間を誇る林だが、出場が長ければそれだけ葛藤もある。四方田修平監督は試合後の会見で、消極的なプレーが続いていた林の起用に迷うこともあったと明かした。しかし直近のトレーニングで吹っ切れた様子の林を見て、引き続き起用を継続させたという。

 林は指揮官の言葉を受け、「デビュー当初の勢いというか、ルーキーらしさはなくなってきたと自分も感じていた」と咀嚼する。「ルーキーらしさを出していかないと、自分が出ている意味はない」。ダービーマッチ直前で迷いを断ち切り、ゴールという結果にも結び付けた。

 横浜FMとの前回対戦では0-5と大敗。ホームに迎えた今節ではその雪辱も果たした。「ダービーに懸ける思いはすごく感じていた。たくさんの人たちが集まってくださって、本当にすごく大きな力をもらった。0-5で負けた悔しさもあった。今回は大量得点で勝ててよかった」。出場時間が長いからこそ、多くの悔しさも味わった。これからはその経験を生かし、シーズンを歓喜で終えるつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
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石川祐介
Text by 石川祐介

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