[8.26 J1第25節 横浜FC 4-1 横浜FM ニッパツ]

　歴史に残る一撃となった。横浜FCは横浜F・マリノスとのダービーマッチで逆転勝利。FW伊藤翔が試合をひっくり返す豪快ボレーを決めた。試合後のフラッシュインタビューでは「みんなで力を振り絞って勝ち点3を取れたことが、一番ホッとしている」と安堵の表情を浮かべた。

　激闘は劣勢からスタートした。伊藤は前半7分に相手GKとの1対1という絶好機を迎えるも、決め切れず。逆に同9分に先制点を奪われた。「僕もチャンスがあったので、なかなか思うような展開にはいかなかった」と追いかける形となったが、それでも伊藤を含めた横浜FCの全員があきらめない姿勢を見せた。

　すると横浜FCは前半36分、MF林幸多郎がセットプレーのこぼれ球をボレーで仕留め、スーパーゴールで試合を振り出しに戻す。そして1-1で前半を折り返すと、後半から横浜FCが一気に盛り返した。

　後半7分、伊藤は敵陣内でボールを受けると、胸トラップから渾身の右足ボレーを突き刺した。5シーズンを過ごした古巣、首位を走る王者、そして前半戦で0-5の大敗を喫したライバルからゴール。「とにかく勝ちたいというチーム、サポーターの皆さんの思いが乗っかった一撃になった」。スタジアムを揺らす得点で、横浜FCの勢いを加速させた。

　さらに、伊藤は後半17分にはカウンターからオウンゴールを誘発する活躍。横浜FCは終盤にもダメ押しのゴールを挙げ、そのまま4-1という快勝を果たした。

　伊藤は試合後には四方田修平監督の言葉を明かす。ミーティングで「歴史を作ろう」という言葉を受け、チームは発奮した。首位から奪った勝ち点3は、今後の残留争いに弾みをつけた。しかし伊藤はすでに気持ちを切り替えている。「一戦一戦が本当に勝負の試合。一個一個のパス、シュート、ブロックが高くつく。全員で集中してやるだけです」と残り9試合に目を向けていた。　

(取材・文　石川祐介)

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