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[国体少年男子]茨城県が“茨城らしく”走り、勝負強さを発揮。49年ぶりVを将来の目標達成への糧に

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茨城県の選手たちが赤須能尚監督(日立北高)を胴上げ

[10.16 国体少年男子決勝 茨城県 2-0 大阪府 OSAKO YUYA stadium]

 茨城県は全国大会決勝で“茨城らしく”戦い、会心の勝利を果たした。今大会3試合で15得点を叩き出している大阪府対策として、全体的に中へ絞っての守備。スペースを与えず、相手のパスワークを制限した。

 赤須能尚監督(日立北高)は「ボールの出どころとボールの奪いどころを共有しながら、全体的にボールが浮いていたりしたら(アグレッシブに前から)行こうと」。個々の技術力の高い大阪に自然と押し込まれる時間帯もあったが、“茨城らしく”前からアグレッシブにボールを奪いに行った。

 1点が勝負を分けることを共有。5連戦の5試合目だったが、選手たちは決勝も懸命に走った。「(茨城県の選手は所属チームで)普段鍛えられていると思うので、(相手の攻撃や)勝負に対する絶対にやらせないとか。最後は昨日と一緒ですけれどもゴール前まで持って行かれるから、走って戻ることを徹底していました」と赤須監督。指揮官は今年のチームの選考について、走れることとユーティリティーであることを重視していたというが、選手たちも走ることに自信を持っていた。

 CB大川佑梧(鹿島ユース、1年)は、「アントラーズで全員キツイトレーニングをしてきているんで、逆に5連戦の方が勝てる自信があったので、走り切ることだったり、“茨城らしさ”を出せたと思います」と胸を張る。

 また、左SB佐藤海宏主将(鹿島ユース、2年)は「スローインで切れる時とか自分は意識的に声を掛けることもしたし、その中でもFWの人もしっかりと戻ってきてくれて、またクリアしたらそこも追ってくれてと助かったし、DFラインもCBの2人(大川、近藤大祐)中心に中を固めて守ってくれて、本当にみんなに感謝したいなというのがあります」と語っていた。
 
 大阪府の攻撃陣は警戒されている中でも突破し、シュートにまで持ち込んできていた。だが、茨城県は勝負の肝を離さない。この日も抜群の運動量を発揮していたFW正木裕翔(鹿島ユース、1年)を筆頭に、各選手がやるべきことを最後まで徹底。赤須監督は「守備は茨城県として高いレベルまで持ってこれていると思う」と評価した。そして、PK、CKから2得点。FW徳田誉(鹿島ユース、2年)は「茨城らしく、しっかりと守って、チャンスを決めきって勝つということができて嬉しいです」と喜んだ。

 赤須監督は自主性の高い選手、コーチ陣に感謝。そして、「(選手たちは)明るくて、うるさいくらいなんですけれども、それって勝負の中で大事なので。これからまだ選手として続いていくし、目標のプロということは忘れちゃいけない、ということは言いたい」。茨城県にとって約半世紀ぶりの優勝を果たして“人生を変えた”が、U-16の選手たちのサッカー人生はまだまだこれからだ。王者・茨城県の選手たちは国体で経験したことを所属チームに持ち帰り、ライバルたち以上の努力を重ねて将来の目標達成に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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