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[MOM891]常葉大DF伊藤翼(4年)_相手の目論見を打ち砕いた鮮やかな一発

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.1 第47回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント1回戦 常葉大1-0福山大 岩手県営運動公園第1グラウンド]

 主導権を握りながら試合を進めた常葉大(東海3)だが、福山大(中国1)の粘り強い守備の前になかなか得点を奪えず、試合は延長戦へ。だが、左SB伊藤翼(4年=作陽高)の鮮やかな一発が、PK戦にもちこみたい相手の目論見を打ち砕いた。

 伊藤は殊勲のゴールについて、「高い位置で(前田)翔茉(4年=清水桜が丘高/藤枝内定)が1対1になったので、数的有利を作るために、走り込んでいきました。ファーに打とうと思ったんですけど、相手が動いたのが見えたので、その瞬間にニアに切り変えたら、狙ったところにいきました」と振り返る。そして「攻撃参加が自分の特徴。しんどいときにどれだけ走れるのかを自分に課しているし、求められている」とするタスクを見事に完遂したことに胸を張った。

 昨年はインカレで関西大、法政大を撃破し、ベスト8へ進出して全国でも存在感を示した常葉大だが、今大会は初戦から難しい戦いになった。チームの得点源であるFW金賢祐(4年=青森山田高)がケガで離脱し、「新たな得点源を模索している最中」と山西尊裕監督が話すように、この日も押し込みながらも決め手に欠いた。

 だが、山西監督が「翔茉が外に張るので、翼はそれ見て中に入ってこれる。そこが武器のひとつで、お互いの良さを引き出し合える」とする常葉大の『お得意パターン』が勝負どころで結果につながった。エースが不在でも「互いの良さの組み合わせで、1+1を3にも4にもできる。そんなものを引き出しあえばいい」という山西監督の狙いが的中した。

 次の対戦相手になる昨年度インカレ準優勝の新潟医療福祉大は、山西監督が「次は間違いなく、こちらの力を引き出される相手なので、楽しみです」と話す難敵だ。伊藤にとっては作陽高時代に指導を受けた佐々木篤史GKコーチが在籍するチームで、かつての師に成長を見せる絶好の機会になる。

 もともとボランチだったが、大学2年の夏に左SBに転向。ウクライナ代表DFオレクサンドル・ジンチェンコ(アーセナル)や、佐々木旭(川崎)のプレーを参考にして、プレーに磨きをかけてきたという。卒業後の進路は未定で、これまでいくつかのチームの練習に参加してきたというが、今大会でさらなるアピールを目指している。「チームのために戦って、自分のアピールがついてくればいい」。チームとともに飛躍を誓う。

(取材・文 蟹江恭代)
●第47回総理大臣杯特集
蟹江恭代
Text by 蟹江恭代

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