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[MOM896]関西学院大FW渡邉颯太(4年)_チームメイトの皆が駆け寄り作られた歓喜の輪

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得点を喜ぶFW渡邉颯太

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.3 第47回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント2回戦 早稲田大0-2関西学院大 いわぎんスタジアムA面]

 毎年「早関サッカー定期戦」を行い、交流がある両校が全国大会の2回戦で激突となった。そしてこの日も今年の定期戦で勝利している関西学院大(関西1)が、スピーディで強度の高いサッカーでゲームを支配して、早稲田大(関東3)のゴールに迫った。

 ただ前半15分にMF高木大輝(4年=京都橘高)の右CKをFW小西春輝(2年=鳥栖U-18)が決めて先制するが、後半になると早稲田大もMF植村洋斗(4年=日大藤沢高/磐田内定)を中心にした攻撃で、好機を作る場面が増えてくる。しかし、交代で投入されたFW渡邉颯太(4年=草津東高)が追加点をあげ、試合を決定づけた。

 渡邉は「セットプレーが(吉田)有志(3年=C大阪U-18)にこぼれて、そこで決め切れればいいけど力んでこぼれてくることもある。その準備を自分の中にできた。そのとおりにボールが来て、ちょっとトラップが外に流れたんですけど、気持ちで打ち切ったら良いコース行って入ったんで、めちゃめちゃ気持ちよかったです」と振り返った。

 高校時代から注目を集めたプレイヤーだが、大学ではなかなか思うように力を発揮できずに苦しんだ。1年生から出場機会も得たものの結果を残せず、FW木村勇大(金沢)やFW山田剛綺』(東京V)といった先輩たちとの競争にも勝ちきれなかった。Bチームでプレーする時期もあった。夢であるプロ入りという目標をかけた最終学年の今年も、春先に怪我で離脱。復帰後に強い気持ちで臨んだ関西選手権では、優勝を勝ち取ったが、その後に体調を崩してしまった。

 それもあって、「関西選手権に掛ける思いが強すぎたあまりに体調をくずしちゃって、今回の総理大臣杯もサポートに回ろうかと思ってたんですけど、岩手まで応援に来てくれた仲間たちとか、メッセージをもらったりとか、体調崩したなかでいろんな人に力を貸してもらった」と充実感を見せる。プレー以外でも、ベンチからポジティブな声掛けや雰囲気を作り、チームのための献身性を発揮することが出来る存在。チームメイトも渡邉の思いや努力を見てきただけに、ゴール後には皆が彼の元へ駆け寄り歓喜の輪ができた。

 プロへの思いは変わらないが、いまはまだなにも決まっていない。「キツくてもぶらさず強い気持ちでやっていきたい。僕ができることを最大限全力でやるだけ。チームのために全力を尽くして、全国大会でアピールしたい」と自らの力でチームをより高みへと導いていく。

(取材・文 蟹江恭代)
●{{第47回総理大臣杯特集
蟹江恭代
Text by 蟹江恭代

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