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敵将は“高体連の手本”と称賛、米子北が四中工に粘り勝ち8強入り

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米子北が四中工を下した

[7.26 インターハイ3回戦 四日市中央工高 1-2 米子北高 鳴門・大塚スポーツパーク球技場]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」のサッカー競技は26日に3回戦を実施。鳴門・大塚スポーツパーク球技場で行われた四日市中央工高(三重)と米子北高(鳥取)の一戦は、2-1で米子北が勝利した。28日の準々決勝では湘南工大附高(神奈川1)と対戦する。

 一時は同点に追いつくなど四日市中央工の戦いぶりが悪かったわけではない。暑さの中での3連戦目でありながら、最後まで粘り強くファイトしていた。だが、それ以上に目を惹いたのは、一瞬の隙を逃さない米子北の勝負強さ。目の当たりにした四日市中央工の伊室陽介監督も、「米子北さんは高体連の手本となるチームだと選手に伝えていました。やるべきことはやるし、みんながファイトするし、最後まで諦めないし、最後まで走る。素晴らしい高体連のチームだと思っていましたが、その通りでした」と脱帽だった。

 序盤から試合のペースを掴んだのは米子北だった。「これまでの3試合を見るとSBとCBは交替せず頑張っていたので、疲労はあるだろうなと思っていた。サイドは1対1の所は自信を持って仕掛け、2トップもCBの背後を狙ってシンプルに攻めようと思っていた」。中村真吾監督の狙い通り、奪ってから素早く攻撃に転じて、チャンスを伺った。

 前半14分には右サイドを抜けたFW福田秀人(3年)がドリブルで前進。中央に入れたボールをMF中井唯斗(3年)が合わせたが、DFに阻まれCKとなった。35+1分に右CKのこぼれ球から放ったDF野田徹生(3年)のシュートはポストをかすめて枠の外。福田のスルーパスからFW小橋川海斗(3年)がゴール前に抜け出した35+3分の場面もサイドネットに終わった。いずれのシーンも四日市中央工の守備陣が粘り強く対応しており、「米子北は徹底して放り込んでくる。我々は跳ね返す、拾う、繋ぐということを徹底してやろう、それしか勝つ方法はないぞと話していた」(伊室監督)四日市中央工としては狙い通りの展開だったのは間違いない。

 迎えた後半は開始直後に小橋川がフリーで抜け出し、ポスト直撃のシュート。ゴールには至らなかったが、「ワンプレー目で小橋川が良いプレーをしてくれたので、みんなに火が付いた」(野田)。暑さに慣れたのもあり、攻撃への姿勢を強まると、後半5分にはMF仲田堅信(2年)の配球から小橋川が先制点をマークした。このままでは終われない四日市中央工も同12分に左サイドをコンビネーションで突破。最後はFW平尾勇人(3年)のパスを受けたFW平野颯汰(2年)が決めて、同点に持ち込んだ。

 試合が振り出しに戻ったタイミングで、先に動いたのは米子北だった。後半21分にMF長谷川暖(3年)とFW森田尚人(2年)を同時に投入すると、この策が見事にハマる。26分に右サイドから中井が上げたクロスは中央と合わなかったが、ファーサイドに入った森田が合わせて、勝ち越しに成功。「前に2枚大きい選手を入れてきたので、警戒していたのですが、クロス対応や一歩寄せる部分が甘かった」とDF野崎竣太郎(3年)が悔やんだ、この一撃が決勝点となり、米子北が2-1で勝利した。

 試合後、米子北の中村監督は「向こうは3試合目で、昨日は38度ぐらいの中でやっていた。足が止まるんじゃないかと思っていたけど、四中工魂というか、なかなか足が止まらなかった。それでも粘って勝てて良かった」と安堵の表情を浮かべた。

 今年は思い通りにチーム作りが進まず、不安もあった米子北だが、いざインターハイが始まると例年通りの力強い試合展開を繰り広げる。「チームが一つにまとまってきたなという感覚はある。最初はバラバラで、コミュニケーションがとれていない部分があった。でも、最近は遠征へ行けるようになり、試合を重ねるうちに仲が深まった。そこで絆とかチームワークが生まれて、今のチームに繋がっている」と口にするのは野田だ。準優勝で終わった昨年のインターハイを経験している選手も多く、リベンジにかける想いも強い。準々決勝も苦しい戦いが予想されるが、米子北らしく一丸となって粘り強く白星を引き寄せる。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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