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87年以来、現校名では初挑戦の全国で8強。湘南工大附は学んだことを持ち帰り、改善して「全国に帰って来たい」

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湘南工科大附高は全国大会で学んだ課題を改善し、プリンスリーグ昇格、選手権出場を目指す。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.28 インターハイ準々決勝 湘南工科大附高 0-3 米子北高 JAアグリあなん陸]

 41年ぶりのベスト4進出こそ逃したものの、新たな校名を全国に印象付けた。湘南工科大附高(神奈川1)は相模工大附高時代の87年以来となるインターハイ出場。激戦区・福岡代表の九州国際大付高との初戦を4-0で制し、3回戦ではプレミアリーグWESTに所属する履正社高(大阪1)を破る番狂わせを演じた。
 
 この日は、前回大会準優勝の米子北高(鳥取)と対戦。立ち上がりは、サイドの高い位置を取りながら攻めてシュートへ持ち込んでいたが、前半8分にビルドアップのミスから先制点を奪われると、16分にも再びショートカウンターを浴びる形で失点してしまう。

 さらに前半アディショナルタイムにも、警戒していた縦パスから抜け出される形で3失点目。ただし、室井雅志監督は「もうウチらしいなと思って。ミスしたらいけないところでミスしたら失点するし、先に失点したら厳しいゲームになるし、そこを含めて判断・技術というところをずっとやっているので、すごく良い勉強になった」と振り返る。

 心が折れてもおかしくないような展開。だが、湘南工大附は主将のCB三浦翔遼人(3年)を中心に気持ちを切らさず、後半はより内容を向上してみせた。一つ奥側の選手を見逃さずに縦パスを通したほか、1タッチも含めてリズムのあるパスワーク。指揮官は「難しいゲームになったなとは思いましたけれども、何とかバラけそうになりながら自分たちも話しながらやったので」。ただし、全国トップクラスの堅い守りをこじ開けることができず、シュートを枠に打たせてもらえなかった。そして相手の攻撃を「分かっていても」止められずに敗戦。学んだ課題を持ち帰り、全国上位との戦いでも自分たちのサッカーを展開できるように、またより色々な戦いができるように努力する。

 湘南工大附の名で初となる全国舞台で8強。奥寺康彦氏や福田正博氏といった名手を輩出し、インターハイ、選手権で全国3位になっている旧・相模工大附ではなく、湘南工大附として踏み出した新たな一歩。粘り強さやMF小島大和(3年)、MF三觜真生(3年)、MF村岡遊(3年)を中心としたパスワーク、今大会4得点のFW大木啓汰(3年)の活躍など現代のチームの武器で2勝した。

 室井監督は「本当に何とか何とか1試合よりは2試合戦いたいと思ってここに来て、何とか3試合戦わせてもらって。当然負けて悔しいし、勝つつもりでここに来ている。だけど本当にこれをどう捉えるか。ウチにとって本当に久しぶりの全国、何ができて何が出来なかったのかというのを精査して、残りのリーグ戦、選手権に向かっていきたい。そこ(相模工大附時代の活躍)に追いつけ追い越せで、また(篠原総監督に)報告して、ボクもより一層、彼らと頑張りたい」と語った。

 突破力やビルドアップ力高い左SB伊藤大輔(3年)は、「(0-3という)この試合に関しては、自分たちのプレーをやろうとしての結果なので、このあとリーグ、選手権があるので、この全国でやれなかったことができるようになって全国に帰って来たい。(個人としては) 思い切ってプレーできるメンタルと、技術を身に着けたい」と誓った。

 伊藤が「自分たちは優勝を目指していたので勝てなくて残念です」と語ったように、全国8強で満足している選手はいない。激戦区・神奈川を再び突破し、選手権で勝ち抜いて湘南工大附の名をより全国に知らしめる。

(取材・文 吉田太郎)
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