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[MOM4316]金沢学院大附FW櫻井鳳雅(3年)_「ザ・ストライカー」。決勝2発で初優勝へ導く

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金沢学院大附高FW櫻井鳳雅(3年=上州FC高崎出身)は石川県予選決勝で2得点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.5 インターハイ石川県予選決勝 金沢学院大附高 2-1 遊学館高 金沢市民サッカー場]

 キックオフと同時に勢いよくゴールに迫り、シュートを放った金沢学院大附高のFW櫻井鳳雅(3年=上州FC高崎出身)の姿は「ザ・ストライカー」という表現が似合う。身長は168cmと高さがなければ、スピードがあるタイプでもない。だが、「小学校の頃から“ここならシュートが打てるな”と思う所に走っている」と笑みを浮かべる男の得点感覚はピカイチ。「得点を決めたい気持ちだけで、ゴールに突っ込んでいます」と続ける通り、本能的な動きも目を見張り、準々決勝の星稜高戦では普通の選手なら頭で行かない低いボールをダイビングヘッドで合わせて、ゴールネット揺らしている。

 迎えたこの日は、「緊張はなかったけど自分が絶対決めるという気持ちのせいで硬くなっていた。力み過ぎた」。前半10分には右サイドからゴール前に入ったロングスローのこぼれ球を頭で合わせたが、シュートは枠の外。15分にもDF北村颯登(3年)がすらしたロングスローをヘディングで押し込もうとしたが、枠外へと逸れた。

 ヘディングがダメならと26分にはロングボールから、DFの背後を抜け出そうとしたが、並走した遊学館高DF松本侑大(3年)にコースを切られて、シュートは打てず。生粋のストライカーとしては不満の残る試合展開となった。

 ただ、得点を決められなかったフラストレーションは良い方向へと働く。「前半のうちにたくさんチャンスがあったのに決め切れなかったので、後半は絶対に決めてたろうという気持ちで挑んだ」と振り返る後半は持ち前の得点感覚を存分に見せつけていく。

 1点目は後半9分。右サイドのFW岡山拓未(2年)からのボールをゴール前で受けると冷静に相手守備陣の股を通して、ゴールネットを揺らした。「ボールを受けた際、トラップが足元に入り過ぎたなと思っていたのですが、DFを見たら来ていなかった。なので、少しずらして股の下を狙った。サイドネットへ行くかなと思っていたら、狙い通りのシュートコースに行った」。

 27分に生まれた2点目はMF油野瑛史(2年)のロングボールから。「油野が蹴った瞬間にDFが前に出たので被るかもと思っていた。そうしたら自分の所にボールが落ち、GKが出ていたので頭の上を越せるかもと思って、インサイドで冷静に流し込んだ」と振り返る通り、冷静にループシュートを沈めた。今大会は欠場した3回戦の松任高戦を除く、全試合でゴールネットを揺らし、8得点をマーク。チーム初の全国大会へと導いた櫻井は「全国へと導けて最高に嬉しい」と喜んだ。

 群馬県出身ながらも、高校では遠く離れた石川の地にやってきた。北一真監督がザスパクサツ群馬でプレーしていた繋がりによって、別のチームの選手をスカウトしにいったのが入学に至ったきっかけ。その際に上州FC高崎の指導者を紹介してもらい、勧められたのが櫻井だった。

 ストライカーの素質は入学時から認められ、1年目から出場機会を掴んだが、2年目は細かな怪我が多く思い通りにプレーできなかった。最終学年を迎えた今年も怪我で出遅れ、Bチームからの出発だったが、県1部リーグが始まる直前にAチームへと復帰。ゴールデンウイークからはスタメンの座を勝ち取った。今大会に向けてはベスト体重に戻すため、毎日練習後に20分の走力トレーニングを実施。身体のキレが戻ったことが、ゴールラッシュに繋がった。

 学校の頃は小学生時代に在籍したファナティコスのチームメイトも刺激になったという。浦和ユースのMF関谷輝(3年)や仙台ユースのDF高橋昂平(3年)、水戸ユースのMF青沼龍之介(3年)など旧友は、高校サッカーの舞台で先行して活躍する選手ばかり。「自分だけ全く活躍できていなかったので、ここで目立ちたい気持ちはあった」。インターハイでの活躍によっては、更に目立てる可能性は十分ある。「全国ではできるだけ多く勝ち残りたい」。そう意気込む櫻井は、全国でもこの日同様自らのゴールで勝利を引き寄せる。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2023

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