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[MOM4325]東山FW松下凌大(3年)_出番から遠ざかるも、一生懸命練習を継続。チャンス得た京都決勝で決勝点

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東山高FW松下凌大(11番)は途中出場でチームを全国に導くゴール

[6.11 インターハイ京都府予選決勝 東山高 1-0 立命館宇治高 サンガS]

 プリンスリーグ関西1部の開幕戦から東山高でスタメン出場を続け、第4節の京都U-18戦ではゴールも奪ったFW松下凌大(3年=京都U-15出身)だが、第5節からは出場機会を失っていた。

 インターハイ予選が始まってからも出番から遠ざかり、準々決勝の向陽高戦で出場機会を貰っても、活かせなかった。「3年生で最後のインターハイ。スタートで出たいという気持ちもあったけど、チームが勝つためにと思ってやってきた」と話す松下はこう続ける。「準々決勝から2週間、ずっと(決められなかったのが)自分の頭にあって、次出た時には絶対決めるんだという気持ちがありました」。

 福重良一監督がスタメンから外したのは、松下の能力を認めた上でハッパをかけるためだった。指揮官の厳しい言葉と「お前はできるんだ」という励ましの言葉を受けながら、松下は日々の練習を乗り越えてきた。

 迎えた立命館宇治高との決勝は準決勝に続き、ベンチスタートとなったが、「この何試合かメンバーにも入っていない中でも、一生懸命練習に取り組んでくれていた。どこかでチャンスを与えるというのが今日だった」と福重監督が話す通り、0-0の状況を崩すための切り札として後半16分にピッチへと送り込まれた。

「1本決めてこい」と指揮官に背中を押された松下のチャンスは早々と訪れた。後半19分にFW宇野隼生(3年)が前に運んだボールを巧みな位置取りで受けると、そのままシュート。このボールはGKに防がれたが、すかさずこぼれ球に反応すると体勢を崩しながらも、強引かつ冷静にゴール右隅に流し込んだ。

「目の前にこぼれてきて、神様がくれたプレゼントみたいな感じだった」という振り返る一撃は、ピッチに入ってファーストプレー。「練習でも目を瞑ってでも打てるようにしている」ため、打った瞬間にシュートの軌道を見ていなかったが、仲間が駆け寄ってきてくれたため、得点が入ったと理解したという。このゴールが決勝となり、東山が3大会連続でのインターハイ出場を掴んだ。

 1本目のシュートシーンのように相手の嫌がる位置でボールを引き出し、パスや仕掛けによって攻撃を前進させるのが本来の持ち味。一方で得点となった一撃のように強引にでもシュートを打つことは苦手としていたが、「数字を出すためには自分でシュートを打たないといけないと思っていた」という。

 強引に打てたのは、高校に入ってからの成長も活きたに違いない。入学した当初はフィジカル差の大きい3年生に当たり負けすることが多かったが、食事とウェイトトレーニングを徹底し、鍛えた結果、66kgだった体重は70kg近くまで増えた。前線でのハードワークなど課題もあるが、力強さが増した現在は、虎視眈々と飛躍を狙っている。

 元々、京都U-15でプレーしていた松下が東山を選んだのは、父の周平さんが東山のサッカー部出身だったから。「自分の基礎は父から教わった」と話すように、よく自主練に付き合って貰っていただけでなく、高校時代の話も聞かされていたという。「“俺は凄かったんだぜ”と聞かされていたので、絶対お父さんよりも良い結果を出したい気持ちがずっとあった。今日だけは大きい顔ができる」。松下はそう笑みを浮かべながら、全国大会での活躍を誓った。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2023

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