beacon

[MOM4321]成立学園DF鎌田真碧(3年)_目立ちたがり屋のCBが自らのゴールと無失点で帝京撃破の立役者に!

このエントリーをはてなブックマークに追加

成立学園高のアグレッシブ系センターバック、DF鎌田真碧(3年=成立ゼブラ出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.10 インターハイ東京都予選準々決勝 帝京高 0-2 成立学園高 駒沢第二球技場]

 そのセンターバックは、いつだってゴールを狙っている。もちろん本職の守備をおろそかにするつもりはない。でも、サッカーをやるのであれば目立ってナンボ。そのためにはわかりやすいゴールでアピールするのが、一番しっかりとスポットライトを浴びられるから。

「目立つの、好きですね。センターバックですけど、昔からゴールを獲りたいという気持ちはずっと持っているので、点を獲って目立ってやろうという感じです。今日のゴールもメチャメチャ気持ち良かったです」。

 成立学園高(東京)のアグレッシブ系センターバック。DF鎌田真碧(3年=成立ゼブラ出身)の貴重なゴールが、チームに大きな勇気と大きな勝利を力強くもたらした。

 帝京高と対峙したこの日の準々決勝。強力なアタッカー陣を擁する相手に、鎌田をはじめとした成立学園の守備陣は覚悟を決める。「まずドリブルが上手いという情報が入っていたので、足先だけで行かないで、身体で行こうと。戦わないと絶対に止められない相手だったので、球際にもこだわって、勝負にもこだわってやろうと思っていました」。

 とりわけ両サイドのウイングは、全国準優勝を経験した昨年のチームから出場機会を得ていた強烈なアタッカー。だが、右のDF新倉虎士(2年)、左のDF矢島脩大(3年)と両サイドバックが奮闘。「サイドバックがとても頑張ってくれたので、センターバックはそのカバーを意識して、それで守れたかなという感じでした」と鎌田も口にしたように、役割を明確にしながら相手の攻撃を1つ1つ凌いでいく。

 前半に新倉も絡んだサイドアタックから、FW冨永創(3年)が先制弾を挙げると、後半に入っても高い集中力で失点を許さず、1-0のままで推移していた後半26分。5番を背負ったセンターバックに、絶好の得点機が巡ってくる。

 右サイドからMF外山朔也(3年)がFKを蹴り込むと、こぼれに反応したMF佐藤漣(3年)はシュートを選択。すると、その軌道が前線に上がっていた鎌田目がけて飛んでくる。「漣が蹴る瞬間に『来る!』と思って、ゴールから外れていたので、『身体には当てよう』というイメージで、とっさに頭が出たという感じでした。自分もヘディングは得意なので、決められるという自信がありました」。頭に当てたボールは、そのままゴールネットへ吸い込まれていく。

 気付けば、もう鎌田は応援団の元へと走り出していた。「仲間があれだけ応援してくれていて、一緒にゴールを分かち合いたかったので、最初から行こうと決めていました。もう熱くなっちゃっていたので……」。仲間の待つスタンドに飛び込み、もみくちゃになりながら歓喜を分かち合う。

 少し喜び過ぎて、イエローカードをもらったのはご愛敬。この1点で点差を広げた成立学園は、2-0で勝利。「インターハイ予選は失点が多くなってしまっていて、今日はディフェンスラインの4枚でクリーンシートに抑えようと思っていたので、この格上の相手を無失点で抑えられたのは次の試合にも生きてくるかなと思います。ここまで良い形で勝ち続けられていましたし、ここで勝ちを止めるわけにはいかなかったので、この勝利は自信になりますね」と笑った鎌田の攻守に渡る躍動が、チームの中でも一際輝いた。

 中学時代は成立学園の下部組織に当たる成立ゼブラでプレー。今大会でもセンターバックでコンビを組んでいるDF大坂颯汰(3年)は、その頃からの盟友だ。「大坂は中学時代から一緒にやってきた仲間なので、息も合いますし、アイコンタクトもできていて、喋らなくてもお互いにやりたいことがわかるところもあるので、やりやすいパートナーです」。

 加えて、山本健二監督も成立ゼブラ時代から指導を受けてきた間柄。「自分は中学生時代から指導を受けているので、山本監督を全国に連れて行きたいですし、みんなも優勝監督にしたいと思っているはずなので、そのために頑張っていますね」。鎌田には成立のエンブレムを背負って結果を出すための、確固たる理由がある。

 17年ぶりの全国出場となった昨年末の高校選手権では、登録メンバーに入ったものの試合出場はなかったが、今季は一貫してスタメン起用が続いているだけに、中心選手としての責任感も間違いなく芽生えている。

「去年も選手権のメンバーには入れてもらっていて、新チームが始まってからは常に試合には出させてもらっていたので、『自分がディフェンスラインを引っ張ってやろう』とはずっと考えてきました。試合を重ねるごとに主力の自覚も出てきていると思いますし、今年は最上級生として自分がやってやろうという気持ちです」。

 次の試合は、自分たちの代で全国切符を掴み取ることができる大きなチャンス。鎌田も十分過ぎるほどに意気込んでいる。「全員でゴールを守って、絶対に失点しないで、最後に点を獲って勝てれば、それも勝ちは勝ちなので。今日はオレが獲っちゃいましたけど(笑)、攻撃陣は絶対に点を獲ってくれると自分たち守備陣は信じています。あと1勝で全国というところなので、来週の練習からまたチーム一丸となって、次の相手にも勝てるように気持ちを入れて戦って、絶対に勝ちたいと思います」。

 目立ちたがり屋で仲間想いのアグレッシブ系センターバック。西が丘の舞台でも鎌田が攻守に渡って躍動するのであれば、きっと成立学園は自ずと勝利に近付いていくはずだ。



(取材・文 土屋雅史)
●【特設】高校総体2023

TOP