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[MOM4324]広島国際学院GK片渕竣介(3年)_データどおりにPK2本ストップ、約束の全国へ

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PK戦1人目、広島国際学院高GK片渕竣介が右へ跳んでストップ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.11 インターハイ広島県予選決勝 広島国際学院高 1-1(PK3-0)瀬戸内高 広島広域公園第一球技場]

 延長も含めた100分間が1-1で終了。広島国際学院高の谷崎元樹監督は、初の全国切符を懸けたPK戦に臨む選手たちに「片渕 P.Kストップ 2/5」と書いたホワイトボードを見せた。

 広島国際学院は今回の予選1回戦の前から毎回、試合前の数日間にPK戦の練習をしていた。その結果で統計を取ると、GK片渕竣介(3年)は5本中2本をストップ。谷崎監督は、心強いデータを見せて「片渕が2本止めてくれるから、自信を持っていこう」と送り出したのだった。

 瀬戸内高の先攻で始まったPK戦1人目、自分から見て右へのキックをストップ。「ちょっとした立ち位置などで駆け引きしました。右側に飛ぶと決めてから、あの位置に立って、そちらに蹴らせたイメージ」と振り返る見事なプレーで、いきなり期待に応えた。

 さらに、2人目は圧巻。相手のキックは再び自分から見て右側、コースは読んでいたが、右下スミへの鋭いボールが飛んできた。片渕も「キックの瞬間、これは止められないと思った」と感じたほどだったが、空中で体をねじるようにして、右手をぐっと下に伸ばしてセーブ。本人も「伸びました。『決勝バグ』みたいなものがあるんですかね。あっと思ったら止めていた」と驚く驚異のセーブだった。

 瀬戸内は3人目がクロスバーの上に外し、広島国際学院は3人全員が決めて決着。データどおりに2本を止めて勝利に貢献した片渕は、応援団が待つバックスタンドまでダッシュして喜びを爆発させた。

 昨年11月の高校選手権予選。全国高校総体(インターハイ)予選も含めて初めて決勝に進出した広島国際学院は、1-1からのPK戦で広島皆実高に敗れ、初の全国大会出場を逃した。控えGKとしてベンチから見ていた片渕は試合後、当時3年生の正GK岡﨑翔真と「来年、自分たちが全国に行くと約束した」という。

 練習を重ねて「自信がついて、止められるという感覚があった」というPK戦を制し、先輩との約束を果たした。昨年度の決勝後に「あのときベンチで見ていた自分たちや、応援団にいた選手たちが、来年こそは、という気持ちを持つことができた」と語った片渕は、「今回勝つことができて、PK戦の苦手意識もなくなってよかった」と喜んだ。

 「広島県で勝っても、全国で負けたら意味がないと思っている」とインターハイを見据えた守護神は、「1回戦で負けるようなことがないように、広島県を代表して、胸を張って戦いたい」と決意を新たに。初めての大舞台でも臆することなく、勝利に貢献することを誓った。

(取材・文 石倉利英) 
●【特設】高校総体2023

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