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「全国で借りを返す」日大藤沢が初の連続出場。桐蔭学園との大一番をPK戦で制す

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日大藤沢高がPK戦を制し、2大会連続のインターハイ出場

[6.17 インターハイ神奈川県予選準決勝 桐蔭学園高 1-1(PK3-4)日大藤沢高 等々力]

 17日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技神奈川県予選準決勝が川崎市の等々力陸上競技場で行われ、日大藤沢高が2大会連続10回目のインターハイ出場を決めた。日大藤沢は桐蔭学園高に先制されたが、追いつき、1-1で前後半、延長戦を終了。PK戦を4-3で制した。18日の決勝で神奈川県第1代表の座をかけ、桐光学園高と対戦する。

 日大藤沢は10度目のインターハイ出場となるが、2大会連続の全国大会出場は夏冬通じて初めて。前回初戦敗退の悔しさを知る経験者たちを中心に激戦区・神奈川突破を果たした。ゲーム主将の10番MF安場壮志朗(3年)は、「去年全国出て、徳島の1回戦で負けてしまって、苦い思いがあって、今年全国に出て、全国で借りを返すという思いが凄く強かった」と明かす。

 激闘を制した試合後には、昨年の主将、GK岡本亜鶴(現日本大)らから「おめでとう」というメッセージ。「ここで満足せずにしっかりと全国で優勝するというのが目標なので、明日(決勝で)勝って全国へ向けて努力していきたい」と決意を新たにしていた。

 日大藤沢、桐蔭学園ともにスキルの高い選手の多い印象の両チームだが、前半のシュートは日大藤沢の1本のみ。序盤は桐蔭学園が押し込む時間帯を増やし、3分間のクーリングブレイク後は日大藤沢がよりボールを保持する展開となった。

 日大藤沢はトップ下の安場がボールに触れる機会を増やし、注目左SB尾野優日(3年)がラストパスへ持ち込むシーンもあったが、桐蔭学園の守りはCB山本蒼悟(3年)を中心に堅い。桐蔭学園もGK神保颯汰主将(3年)やMF佐野秀斗(3年)からボールを丁寧に繋ぎ、幅を広く使った攻撃。日大藤沢はしばしば押し下げられていたものの、U-17日本高校選抜候補CB宮崎達也(3年)ら経験値豊富なDF陣が決定打を打たせない。

 だが、後半開始直後に一瞬の隙。FW田村陸人(2年)にDF背後を取られ、先制点を奪われてしまう。神奈川県勢初の日本一に輝いた11年以来のインターハイ出場を目指す桐蔭学園は、喜びを爆発。ただし、安場は「(佐藤輝勝)監督から失点した後どうするかというのを言われていて、失点して落ち込むとそのまま持っていかれるので、その状況を楽しむのは自分たちみんなで意識していた」。すぐ反撃に出ると、6分、宮崎の右CKからMF荻原大地(3年)がヘディングシュート。右へこぼれたボールにいち早く反応したU-16日本代表MF布施克真(2年)が右足を振り抜く。これがニアのポストを叩き、ゴールラインを超えた。

 1-1。日大藤沢は荻原、布施のダブルボランチをはじめ、各選手の守備意識が高い。プレスバックを欠かさず、桐蔭学園がPAへ入って来る前にボールを奪い取っていた。ただし、攻撃面に関しては、ファイナルサードの崩しで課題の残るゲームに。日大藤沢の佐藤輝勝監督は「もっともっとチャンスを作っていかないと全国では勝ち切れない。(暑さなどを)言い訳にしないで自分たちのクオリティを環境に負けず、上げるということは今日の課題だと思います」と指摘する。

 桐蔭学園も山本、CB西田遥翔(3年)がチャレンジ&カバーを徹底するなど集中した守りを継続。互いに譲らず、1-1で延長戦へ突入した。その延長前半、日大藤沢は布施のスルーパスで交代出場MF岩内類(2年)が左中間へ抜け出し、左足を振り抜く。だが、シュートはファーポストをヒット。桐蔭学園もサイド攻撃やセットプレーでゴールへ迫ったが、得点を奪うことはできず、決着はPK戦へ委ねられた。

 PK戦は互いに2人ずつが決めて迎えた3人目、後攻・桐蔭学園のシュートが枠上へ。日大藤沢は決めれば勝利の5人目のシュートがクロスバーを叩く。だが、直後に188cmGK野島佑司(3年)が桐蔭学園5人目のシュートをストップ。全国出場権を勝ち取った。

 日大藤沢は2週間前に左手を骨折したMF岡田生都(3年)が手術、練習でのアピールを経て大一番で先発出場。佐藤監督は「本人が一番諦めなかった」。この日は力を出しきれなかったかもしれないが、岡田や去年の全国大会での悔しさを知る選手、スタンドの巻き返しを目指す選手含めて一丸となって掴んだ白星。安場は応援含めて「応援リーダーの渡部(瑠太)中心にまとめてくれて、その応援もすごく力になっていますし、日頃から話し合って、一体感を強くするために、去年を超えるためにと、いうことは自分たちで考えながらやっています。最後は一人ひとりの思いが上回ったと思います」と頷いた。

 18日はライバル・桐光学園との決勝。その後、インターハイへ向けたチーム内競争が始まる。佐藤監督は「もっともっと覚悟を持った選手が多いので、逃さずに戦力アップしていきたい」。繋いで、勝つというテーマにもこだわって取り組み、今年は全国舞台で舞う。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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