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先輩たちのように、一戦一戦成長できるかが「勝負」。富山一が高松北を振り切り、2回戦進出

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前半8分、富山一高がFW加藤隼也(9番)の決勝点を喜ぶ

[7.29 インハイ1回戦 高松北高 0-1 富山一高 忠和公園多目的広場A]

 29日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技1回戦が行われ、富山一高(富山)が1-0で高松北高(香川)に勝利。富山一は30日の2回戦で日大藤沢高(神奈川2)と戦う。

 富山一は前半8分、左サイドのMF平田一葵(3年)がドリブル突破。サポートしたFW加藤隼也(3年)がこぼれ球に反応し、右足で先制点を叩き出した。加藤はこれがAチームでの公式戦初ゴール。大事にしていた立ち上がりにリードを奪った。

 加納靖典監督は「(このチームは)立ち上がりから上手くいかないとか、痛い思いをしてきた。(今大会の他の試合を見て、)立ち上がり上手くいかないチームが負けているのもあった」。この1点でチームは主導権を握った。

 縦に速い展開となる中、MF多賀滉人主将(3年)が一際目立つ動き。運動量を活かしてMF松井凛空(3年)とともにセカンドボールを回収し、サイド攻撃へと結びつけた。だが、決定的なシュートを相手GK藤村豪(3年)のファインセーブに阻まれるなど、2点目を奪うことができない。

 高松北はチームとして取り組んでいるフットサルの動きを随所で活用。巧みにボールを引き出すFW森口且将主将(3年)やFW菊本航(2年)がゴールへ迫る。また、前半途中に投入されたMF森本光佑(3年)が果敢に中央からボールを運んでチャンスメーク。あと一歩のところまで持ち込んでいたが、富山一はPAでCB岡田駿也(3年)とCB福光翔太(3年)の両DFが食い止め、GK魚住秀真(3年)も隙を見せない。

 今年の富山一は、攻撃力が魅力だが、伝統の堅守も徐々に構築中。富山県予選を無失点で制している。この日は、加納監督も選手たちも「苦しかった」と振り返る終盤を乗り越えて1-0で競り勝った。昨年は、夏冬ともに全国大会で初戦敗退。現3年生にとっては入学後、初となる全国大会での白星だった。

 今年から指揮を執る加納監督は「一戦一戦成長していくチームだから、明日もっと良い試合ができるように今から調整していこう」と選手に言葉を掛け、多賀も「成長できるかが勝負だと思っています」と言い切った。上位進出を果たした先輩たちのように、インターハイを成長の大会にする考えだ。

 富山一は19年のインターハイで一戦一戦成長を重ねて初の決勝進出を果たし、準優勝。その前年18年大会の開幕前は状態が良くなかったというが、現千葉のFW小森飛絢が初戦でハットトリックを達成するなど8強へ勝ち上がり、小森は大会得点王を獲得している。

 先輩たちから学ぶことは多い。今大会直前の7月23日には、多賀の兄で18年8強世代のDF多賀稔人や19年準優勝世代のDF中園享成(現金沢学院大)らOBが20人近く集結。練習試合を行った。

 加納監督は「学ぶべきことが多くて、特にコミュニケーションはOBの方が取れていた。(選手たちに伝えたことは)普段一緒にやっていなくてチームになってできるのは、君たちとの差なんじゃないかと」。全国大会初戦は苦しい戦いだったが、選手たちは学んだことも表現して白星を勝ち取った。

 多賀は「毎年監督からは選手権優勝や(インターハイ)準優勝した時の話はされています。(勝ち上がったチームは)一人ひとりの技術があるのと、準優勝の時は特にチームの雰囲気がどんどん良くなったと」。自分たちも大会中に雰囲気を向上させ、成長できるかが「勝負」。この日の課題を少しでも改善して2回戦を戦い、また成長する機会を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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