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ミスが起きても怯まずにトライ。初出場・札幌創成は選手権、将来へ貴重な70分間

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札幌創成高は今後に繋がる全国初陣

[7.30 インハイ2回戦 高川学園高 4-0 札幌創成高 忠和公園多目的広場B]

 初の全国舞台で自分たちのサッカーにトライした。トライして学んだ70分間だった。札幌創成高は北海道予選で2位に入り、全国大会初出場。先発6人が下級生という若いチームだが、序盤からゴール前でのシュートブロックや粘り強い守備で伝統校・高川学園高(山口)に食い下がった。

 そして、相手の強烈なプレッシングの前にミスが起こりながらも、チームの特長である後ろから繋ぐことにトライし続けた。鏑木正彦監督は「なかなか勝負かかったところで心理的にトライできづらい状況なんですけれども、選手たちはそこに向かって、しっかりと自分たちのやろうとしていることをトライしたなということは誇りに思います」。緊張で普段のプレーができなかった部分もあったが、先を目指す選手たちは引かずに勇気のある戦い。やれる部分も多かったが、全国との差を感じる結果にもなった。

 前半21分、クロスから高川学園のU-17日本代表候補FW山本吟侍(3年)にゴールをこじ開けられた。主将のMF村本柊生(3年)は、個の力の差、1本の差を指摘する。「相手の10番(山本)が脅威で、2人で行っても取れない。創成にはそういう選手がいなくて、チャンスも作れていたんですけれども、そこで相手は決め切るけれどこっちは決め切れない。それが差かなと」と分析。そして、「北海道には無いプレスや個の力は凄かったです」と認めていた。

 点差が広がっても諦めずに攻め続け、1点をもぎ取りに行ったが、0-4で敗戦。鏑木監督は「チーム力、全てにおいて差がありましたね。全国の厳しさをしっかりと肌で感じられたと思うので、次に繋げていきたいと思います」と語った。チームは育成にも注力。今年、OBのFW河波櫻士が関東学院大から鳥栖へ加入したほか、関東や九州の強豪大学に選手を送り出している。

「まずプロを目指している選手を次の大学に繋げるというのは、一つの目標でもあるので、良い相手とやれて良かったと思います。足りないところとかしっかりと修正してやっていきたい」と指揮官。選手も全国大会の経験を個の成長と選手権出場に繋げる意気込みだ。

 村本は下級生時からの主軸。ドリブルと左足の配球を得意とするアタッカーは後半、MF佐藤蓮(3年)やFW三栖正義(3年)とともに攻撃の中心となってゴールを目指し、チャンスの数を増やしていた。だが、簡単にシュートを打たせてもらえなかったと感じている。

「1対1くらいだったら多少勝てていたけれど、シュート。最後までやり切れなかったのが印象的で、そこを選手権までにはどの相手にもできるようにしたい。(これから)2人来ても剥がせるような、1人でも試合を決めれるような選手になる。チームでは北海道で優勝して、もう1回全国にリベンジしに来れるようにしたい」。次は全国で戦える選手、チームへ。強豪校相手にトライした経験を数か月後、そして将来に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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