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[MOM4378]高知DF森紺(3年)_選手権王者撃破の立役者!! 立ちはだかった170センチの“厚い壁”

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高知高の主将を務めるDF森紺(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.31 インハイ3回戦 岡山学芸館高 0-0(PK13-14) 高知高 東光スポーツ公園球技場B]

 昨年度の選手権王者を破る立役者になったのは、高知高(高知)のDF森紺(3年)で間違いないだろう。岡山学芸館高(岡山)はスタメンの2トップに180cmのFW香西健心(2年)と181cmのFW太田修次郎(2年)を配置。空中戦とフィジカルに強い2トップに長いボールを当て、セカンドボールの回収から二次攻撃を仕掛けて立ち上がりの10分以内にゴールネットを揺らすのがプランだった。だが、高原良明監督が「思った以上に相手CBのヘディングが強かった」と振り返ったように、狙い通りにボールが入っても2人に当てられた森が競り勝ち、思い通りに試合を進められない。前半半ばにFWを交替させ、地上戦に切り替えたのは森という厚い壁が立ちはだかったからだった。

 高知としても、相手2トップが強力なのは分かっていたが勝算はあった。170cmの身長はCBとしてかなり小柄な森だが、身体能力が高く、「走るのも速いし、高くも飛べる。(競る)タイミングも上手いので、身長が低くても割と大きい選手に勝てる」(大坪裕典監督)。森自身も昨年のインターハイ1回戦で高川学園(山口)と対戦していたのが大きかった。「(U-17日本代表候補)FW山本吟侍に2人は少し似ていた。その時も自分自身は全然やれたと思っていたので、同じ感覚でやれば、通用するんだろうなと感じていた」。森が跳ね返したセカンドボールは守備力に長けたMF市原礼斗(3年)とMF市原大羅(2年)の兄弟ボランチがきっちり回収。試合全体を通して守備からリズムを作れたことが、相手をPK戦まで引きずり込む要因となった。

 DFとしてだけでなく、キャプテンとしての奮闘も目を見張る。1年生からスタメン起用される森は「チームを一つでも多く勝たせたい」と新チームになったタイミングでキャプテンに立候補。勝ち運を掴むため、率先して校内や学校周辺のゴミ拾いを行なってきた。取り組みはインターハイで北海道に入ってからも続けているという。選手ミーティングも彼中心にやっており、2回戦後は連戦で時間がない中でも岡山学芸館の選手情報と攻撃のポイントを話し合い、選手一人ひとりの頭に叩き込んだという。

 1年生から右SBのレギュラーを掴み、選手権に出場した。CBにコンバートされた昨年はインターハイ出場に貢献したが、2回戦で敗退。選手権は予選での累積によって、全国大会初戦が出場停止となり、丸岡(福井)にPK戦で負けるのをただ見守るしかなかった。今年、新チームになってから掲げてきたのは、過去最高成績であるベスト8を超えるベスト4進出で、残り一歩のところまでたどり着いた。目標達成が目前まで迫り、ボルテージは高まっている。「自分自身(全国大会で)ここまで来たことがなく、あまり実感も沸いていない。でも、ここまで来た以上、目標以外の優勝をもちろん狙いたい」。意気込み通り、快進撃をまだ止めるつもりはない。

(取材・文 森田将義)

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