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「一つでも多くのチャレンジを」求めてインハイに参戦。宮下ハットの桐光学園は準々決勝も下から立ち向かう

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後半5分、桐光学園高FW宮下拓弥(右から3人目)がこの日3得点目のゴール

[7.31 インハイ3回戦 帝京大可児高 1-3 桐光学園高 東光スポーツ公園球技場A]

 チャレンジする桐光学園が準々決勝進出――。31日、令和5年度全国高校総体(インターハイ) 「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技3回戦で帝京大可児高(岐阜)と桐光学園高(神奈川1)が激突。桐光学園がFW宮下拓弥(3年)の3得点によって3-1で勝ち、尚志高(福島)との準々決勝へ進出した。

 当初、カムイの杜公園多目的運動広場Aで9時30分開始予定だったこのカードは、雷の影響で試合開始時間が17時へ変更。照明設備のある東光スポーツ公園球技場Aへ場所を移して実施された。

 選手たちは一度宿舎へ戻るなど大変な準備を強いられたが、桐光学園は前向きに捉えていたという。GK渡辺勇樹主将(3年)は「きょうは朝から何度かイレギュラーがある中でしたけれども、ホテルでも、バスでも、全員ポジティブな言葉でエネルギーにしようという言葉があった」。一つでも多くのチャレンジをすることを掲げてインターハイに臨んでいるチームは前向きに試合に入り、快勝を収めた。

 序盤は互いに特長を出し合う展開。帝京大可児は際の攻防でも正確なパスを通すMF鶴見一馬(2年)や、キープ力の高いMF吉兼伶真主将(3年)がボールを前進させ、MF棚橋奎斗(3年)やFW加藤隆成(2年)の係る崩しからゴールを目指す。

 だが、桐光学園は相手の起点に強烈なアプローチをするなど球際の攻防で優位に。鈴木勝大監督が「そこはウチが出さないといけない部分」と説明する強度の高さでボールをもぎ取り、縦に速い攻撃へ結びつけて行った。

 そして、エースFW宮下が前半に2点を奪い取った。12分、GK渡辺勇樹(3年)のゴールキックをMF羽田野紘矢(3年)が中央でコントロールしてスルーパス。DFラインの背後を突いた宮下が、右中間から右足シュートを決めた。

 帝京大可児も長短のパスやロングスローからチャンスを作ったが、桐光学園は25分に追加点。CB川村優介(3年)が自陣右サイドからロングパスを蹴り込む。帝京大可児DFが処理しきれず、ボールは宮下の下へ。背番号9はPAで内側へ仕掛けると、最後はDFとGKの股間を射抜く左足シュートを決め、2-0とした。

 宮下は後半4分にも、U-17日本高校選抜の10番MF松田悠世(3年)の右CKをファーで押し込み、ハットトリック達成。桐光学園はその後も注目MF齋藤俊輔(3年)の仕掛けなどから追加点を狙う。

 対する帝京大可児は14分、棚橋の右CKをCB内山晴登(3年)が頭で合わせて追撃ゴール。落ち着いてボールを前進させ、鶴見が左足シュートを打ち込むなど次の1点を目指す。

 だが、桐光学園は鈴木監督から「守備と1対1がテーマだぞ」と声が飛ぶ中、守備意識の高い戦い。一方で松田がドリブルシュートへ持ち込み、ボランチの位置でチームを引き締めるMF小西碧波(3年)がエンドライン際までスプリントしてシュートシーンを演出するなど、攻撃姿勢も持ち続けて試合を進める。

 帝京大可児の仲井正剛監督は、「カウンターでゴール前3対2というシーンを作れていても結果ゴールには繋がっていない、向こうは(1対1でも)ゴールに繋がっている。上手く作ることはできているけれど、ゴールに繋げれていない」と指摘。強度やシュートを決め切る、打たせないという部分で差を生み出した桐光学園が、3-1で勝利した。

 桐光学園(プリンスリーグ関東2部)は準々決勝でプレミアリーグ勢の尚志と対戦する。全国大会での実績は上回るが、自分たちは挑戦者。鈴木監督は、「ウチは低く、下から行くというのがテーマですから、彼らには70分間チャレンジャー精神を持って追求して欲しい。(インターハイに)『一つでも多くのチャレンジをしよう』と乗り込んできている。次も、準々決勝も、誰にも、何にも怖れずにチャレンジしたいと思っています」と求めた。

 選手たちも挑戦して勝つ意気込みだ。渡辺は「(尚志は)リーグでは上ですけれども、同じ高校生ですし、チームに自信があるので、もちろん立ち向かってぶっ倒す気で行きたいと思っています」と語り、宮下は「神奈川県予選からチャレンジャーという気持ちで一つ一つやってきたので、全国でも一つ一つ良い勝ち方ができているので、あと3試合とか考えずに一つ一つ戦っていきたい」と一戦必勝を強調した。下から立ち向かい、勝って、準決勝への切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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