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千葉県1部参入の城西国際大、新たに37人の強力新入生が入部

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 昨秋の千葉県大学サッカーリーグ2部リーグを全勝で制し、圧倒的な強さで1部昇格を果たした城西国際大が新シーズンをスタートさせた。本格強化に乗り出して3年目。新たに目標を「1部リーグ優勝、関東2部リーグ昇格」としたシーズンが幕を開けた。

 昨年は秋季リーグのみの2部リーグを戦った城西国際大。1戦ごとに成長を遂げたイレブンは力の差を見せつけ、全勝優勝を果たした。ただ優勝を決めた昨年11月18日の千葉商科大戦では、4-1と快勝を飾ったものの内容には決して満足せず、試合後も黙々と練習に取り組む選手の姿があった。「もっと強くなりたい」「もっと巧くなりたい」といった選手たちの高い向上心が、急成長を支える原動力となっている。

 新入生との融合も新シーズンに臨むにあたっての城西国際大の一つのテーマとなっている。昨年は1年生を中心としたメンバーでチームを作り上げたが、今季も新たに北は北海道、南は沖縄から新入生37名を迎え入れた。脅威の成長を遂げる新興勢力が、着実に歩を進めている。

 城西国際大のサッカーはパスで相手を崩すサッカーを身上とする。昨シーズンもパスでつないでリズムを作りながら、相手の隙を突くサッカーで得点を量産した。またFW香川滉太(2年=瀬戸内高)ら高さで勝負できる選手も成長を見せ、終盤はセットプレーでの得点も増えた。“1年生軍団”だった昨年からのさらなる成長も見込めるが、そこに加わるのがバリエーションに富んだ新入生の存在だ。

 昨年の全国高校選手権に出場し、米子北高(鳥取)で背番号10を背負ったMF加藤潤也(1年)。スピードとパワーを兼ね備え、米子北高の見せた高速カウンターはこの選手抜きには語れなかった。監督も期待を寄せる存在だが、本人も「1年生が底上げしてチーム力を上げないといけないと思う。1年だから試合は出なくていいと全員が思わず、どんどん試合に絡んでいければ、チームも強くなる」と気合十分だ。

 また、高校サッカーの名門・鹿児島実高からはMF内村一哉(1年)も入学を果たした。内村は昨夏ナイキジャパンが開催したスカウトプロジェクト『THE CHANCE』の「九州ラウンド」を突破した。34分の3という狭き門を突破し、ジャパンファイナルに進出。風間八宏現川崎F監督らが選考委員を務めたファイナルマッチメンバーにも、冬の高校選手権で得点王となった京都橘高のFW仙頭啓矢らとともに選出された逸材だ。「雰囲気を見てこの大学がいいなと思った」という内村。「ゴールに絡むプレーがしたい。開幕戦のトップ下のレギュラーを目指して頑張りたい」と意気込んでいる。

 守備陣でも充実の新戦力が目立つ。プリンスリーグ北海道を制した北海道室蘭大谷高の守備の要だったDF廣瀬智行(1年)。12月に行われたプレミアリーグ参入戦では、惜しくも17人目までもつれ込んだPK戦の末、桐光学園高(神奈川)に敗れたが、高さ・巧さで選手権ベスト4の高校を最後まで苦しめた。「みんなで頑張りたい。レギュラーとして出場してチームに貢献したい」と目を輝かせた廣瀬。同校をキャプテンとして引っ張ったMF小栗和也(1年)とともに初年度からの大暴れを誓った。

 昨年のチームは、1試合ごとに成長を遂げていった。しかし2部リーグ戦では圧倒的な強さを見せたイレブンだが、今年に入ってから行われた天皇杯の千葉県1次予選を兼ねた千葉県第1種サッカー選手権大会ではブロックトーナメントで敗退するなど、実力のあるチーム相手には脆さが出てしまう。選手全員も感じていることで、強力新入生との融合が、さらなる高みを目指すうえでは必要不可欠となる。MF鯉沼将希(1年=東京Vユース)も「自分の持っているものをすべて出して、先輩たちに『絶対負けない』という強い気持ちを持ってやっている」と下剋上を宣言。チーム内の競争意識も昨年以上だ。

 指揮を執って3年目のシーズンを迎える小山哲司監督。2010年FIFAワールドカップ日本代表のチームコーディネーターなどを歴任し、2011年4月に城西国際大の監督に就任した。1年目のシーズンは惜しくも2部リーグ4位に終わり、1部昇格を逃したが、自らスカウトしてきた部員を中心メンバーに据えた昨季は、一気の強化に成功。今季のスカウトについては、「まだ分からない部分も多い」とはぐらかしたが、ホワイトボードを使って新入生を説明してくれた際には、次々と新入生の名前を挙げるなど、選手の集まりに自信を見せていた。

 千葉県1部春季リーグは4月14日に開幕する。8校によるリーグ戦が1シーズン制で行われ、優勝校が11月に行われる関東大学サッカー大会(参入戦)に代表校として進出。関東2部リーグ参入をかけた戦いを繰り広げる。今季の千葉県1部リーグも昨季の優勝校で惜しくも昇格を逃した中央学院大や2位の明海大など強豪ひしめく厳しいリーグとなっている。有言実行で成し遂げた1部昇格だが、今年の目標である1部優勝と関東2部昇格は決して低いハードルではない。だが高い壁だからこそ挑戦し甲斐がある。「絶対来年は関東2部に上がりたい」。選手全員がしっかり目標を定め、高い意識を持って切磋琢磨出来ている。

 田園地帯にひときわ目立つナイター設備完備の人工芝グラウンドに響き渡るフレッシュな声。新入生もすでに2月より随時練習に参加している。「充実していて楽しいです」「溶け込みやすいチームです」といった声が次々と聞かれた。3月中旬からの約10日間、広島県で強化合宿を行った。多くの実戦もこなし、充実のプレシーズンを過ごしている。

 本格強化を始めて3年。『ホップ、ステップ、ジャンプ』。三段跳びで例えるならば、県1部に昇格したことで、第一段階はクリアした。新たな飛躍を遂げるために――。スケールアップした新生城西国際大が、千葉1部に旋風を巻き起こす。

(取材・文 児玉幸洋)

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