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城西国際大は黒星発進…1部初陣で洗礼浴びる

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[4.14 千葉大学1部L第1節 城西国際大0-2明海大 城西国際大G]

 平成25年度千葉県大学サッカーリーグ1部春期リーグが14日、「PRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK(高円宮殿下記念スポーツパーク)」(城西国際大G)で開幕した。初の1部リーグを戦う城西国際大は昨季1部2位の明海大と対戦し、0-2で敗れた。昨季の秋期2部リーグを全勝で制した城西国際大だが、厳しい船出となった。

 昨季は“1年生軍団”で旋風をを巻き起こした城西国際大。今年も37人の新入部員を迎え入れ、新たなシーズンに臨むことになった。迎えた開幕戦の相手は、昨季1部2位で今季も優勝候補の明海大。「1部リーグ優勝、関東2部リーグ昇格」という目標を掲げる城西国際大にとって、申し分のない相手となった。

 システムは4-4-2でスタート。GKは平山優樹(2年=長崎日大高)。DFラインは右から中原翔矢(1年=広島ユース)、安部勇輝(1年=境高)、廣瀬智行(1年=北海道大谷室蘭高)、津川暢彰(2年=札幌U-18)。中盤は重行拓也(2年=広島ユース)と加藤潤也(1年=米子北高)がダブルボランチを組み、右の前目に内村一哉(1年=鹿児島実高)、左には鯉沼将希(1年=東京Vユース)が入った。そして2トップは2年生の2人、米澤康太(都城工高)と井之元和之(都城高)が務めた。MF橋本渉(2年=広島皆実高)が累積警告で出場停止、MF溝口大気(2年=室蘭大谷高)が故障で出遅れるなど、昨年までのレギュラーにアクシデントはあったが、新1年生6人が開幕戦のスタメンの座を掴んだ。

 気合が空回りする前半となってしまった。3、4年生を中心とした明海大の圧力に押される城西国際大はことごとく球際の競り合いに敗れ、ボールを保持することが出来ない。「緊張していましたね。硬くなっていました」。小山哲司監督も残念がった序盤の展開。ならばとセットプレーからチャンスを伺うが、12分の重行が蹴ったFKがクロスバーに嫌われるなど、運にも見放された。

 その後も城西国際大は明海大の多彩な攻撃パターンに苦しんだ。パスを回され、後手に回る展開が続く。すると前半35分、ペナルティーアーク付近で明海大MF禹相皓(3年=柏U-18)に切り返しを許すと、豪快にミドルシュートを決められ先制を許してしまう。「いい時間帯に決められてしまった。蹴ってばかりになってしまった。もっと冷静になって繋ぐことを心がければよかった」。持ち前の視野の広さでパスをさばいていた加藤も、守備に追われた前半を反省した。

 後半開始から井之元を下げてMF難波祥平(1年=広島ユース)を投入。システムを4-2-3-1に変更し、リズムの変化を求めた。さらに同5分にはボランチに下がっていた内村に代えてMF田中崚平(1年=広島皆実高)をピッチに送り込む。しかしその後も試合は淡々と流れてしまう。

 一瞬変化が見られたのは後半22分にMF花本敏生(2年=米子北高)を投入した時だった。鯉沼に代わってピッチに入ると、いきなり左サイドで仕掛けクロスを入れる。これはGKにカットされたが、同33分には再び左サイドを突破し、ニアに飛び込んだ米澤に合わせた。わずかに枠を外れたが、停滞していたムードに喝を入れるプレーでチームに活気を与える。すると直後にも今度は津川のロングボールをエリア内でGKと競り合った重行が頭で落とし、米澤が押し込むが、これはキーパーチャージを取られてしまった。

 終盤、城西国際大はパワープレーに出る。40分過ぎからは3バックに変更し、185cmのDF廣瀬を最前線に上げて勝負に出る。しかしこれが裏目に出てしまう。同45分、前がかりとなったところを見事に突かれ、MF長野祐希(2年=千葉U-18)にループ気味の鮮やかなシュートを決められてしまう。初陣は1部リーグの洗礼をもろに浴びる形となった。

 試合全体としての印象は、選手間の距離感が遠く、個人個人が孤立する場面が目立った。さらに前線でボールが収まらず、チーム全体の押し上げがスムーズにいかなかったことも苦戦を強いられた要因だ。昨年までの戦いでは見えにくかった課題。克服したい課題だが、次戦は早くも次の日曜日、こちらも優勝候補の中央学院大との試合となっている。難敵続きとなるが、小山監督は「望むところです」と不敵に笑みを浮かべる。「それの方が選手たちもおもしろいと思います。その方が選手も成長できると思いますよ」とイレブンの奮起をうながした。

 選手数68人の大所帯となった城西国際大。今季はトップチーム以外に2チームを作成し、昨季は1チームが参加したインディペンデンスリーグ(Iリーグ)に登録する予定だ。昨年までのレギュラーが開幕戦のベンチにも入れない状況を打開すべく、実戦の機会を増やしていく。「みんなレベルは変わらない。1週間でコンディションを上げた選手が試合に出られると思っている」。この日は先発した米澤が話したとおり、クラブハウスの屋上の観覧席から試合を見守った選手たちも控えに甘んじる気はさらさらない。

 春期1部リーグは8チームによる総当たり戦で行われるが、秋期は上位4チームと下位4チームに分かれてのリーグ戦が行われる。毎年チームを作り直す学生サッカーにあって、春期リーグはチームを創りあげる時期にも相当する。1部リーグ初戦は黒星スタートとなってしまったが、リベンジの機会はまだまだある。

(取材・文 児玉幸洋)

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