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[MOM875]明治大MF中村草太(3年)_佐藤恵允不在で背負った背番号10、10人と苦しい状況で決勝点

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後半8分に決勝点を決めたMF中村草太(3年=前橋育英高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.10 関東大学L1部第8節 法政大1-2明治大]

 思わぬ展開になった。明治大は1-1の前半44分、競り合いの際にMF島野怜(2年=仙台育英高)の肘が相手選手に入ってしまい、一発退場。数的不利を強いられることになった。

 ただこれにより戦い方が明確になった。MF常盤亨太(3年=FC東京U-18)とMF林晴己(2年=高川学園高)が豊富な運動量で中盤の底をカバー。ボランチが1人欠けた穴を埋めると、攻撃陣もワンチャンスを確実に仕留めようと集中力を高める。

 そして後半8分、林がDFの背後に出した浮き球パスにMF中村草太(3年=前橋育英高)が反応。ゴール前まで持ち上がると、DFモヨマルコム強志(4年=東福岡高/長崎内定)に詰められる前に、左足を振り切った。

 中村は「点を取るならカウンターだと思っていた。奪った瞬間に出ることは意識していて練習もしている。練習の成果が出たというところも良かったと思います」と白い歯をこぼした。

 背番号10のプレッシャーと戦っていた。関東大学リーグは今季から毎節ごとに背番号の変更が可能となった。ユニフォームの枚数など経費を考慮したことが主な理由だ。

 そして今節、明治大は開幕から10番を背負ってきたMF佐藤恵允(4年=実践学園高)がU-22日本代表の欧州遠征のために不在。そこで今節に限って、中村が背番号10をつけることになった。

 ユニフォームを渡された時は、「歴代の偉大な先輩が10番をつけてきた姿を見てきて、言葉では表せないくらいの重い番号だと思っていて、それが自分に背負えるのか」と不安も感じたという。

 しかし「明治の10番は辛い時に点が取れる選手」と理解があったという通り、明治で初めて10番を背負った試合で決勝点を奪ってみせた。「恵允さんもここぞで決めてくれるイメージがある。辛い時に点が取れるのが10番。自分も体現できたことは素直に嬉しいです」。

 4月に行われたU-22日本代表候補合宿にも呼ばれた注目アタッカーで、同合宿では前橋育英高で同期だったMF櫻井辰徳(徳島)と再会した。また先日には東洋大に進んだ同期のMF新井悠太が東京ヴェルディ、DF稲村隼翔がアルビレックス新潟への25シーズン入団内定を決めた。

 同期の結果は常に気にしているという。「攻撃的な選手なので特に新井とか熊倉(弘達=日本大)には負けたくない。(前々節の)東洋戦では見事に新井に決められて、正直悔しくて、後期は絶対にぶっ潰してやりたいと思っています」。

 焦りがないわけではないが、今は明治で試合に出続け、そして結果を出し続けることに集中する。「今は目の前の試合を戦うことが大事。自分も刺激を与えられるようにしたいと思っています」。今季3ゴール3アシストと結果を残す3年生が、これからも同期に負けない存在感を放つ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集

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