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Jリーグ秋春制への大学サッカー連盟の対応は…「今は議論していくべき段階」

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 大学サッカー2大全国大会の総理大臣杯と大学選手権(インカレ)において、24年度より大会方式が変更されることが明らかになった。9月上旬に行う総理大臣杯は、参加大学が現行の24チームから8チームに増やして32チーム制にする。また12月に実施予定のインカレは、出場28チームによる3ラウンド制を採用する。

 Jリーグが検討している秋春制へのシーズン移行が現実味を帯びる中で、アマチュアサッカー界への影響が多分に考えられるが、今回の変更はあくまでも競技レベルの向上を目指してのもの。全日本大学サッカー連盟の中野雄二理事長も「警告の枚数や疲労感の問題をそのままにしておくことは出来なかった。さらにより全国大会のレベルを上げたいと検討した結果」であることを強調した。

 秋春制への移行で、アマチュアサッカー界が対応しなければいけない問題として、学校カレンダーへの対応が一番にある。日本の教育機関のほとんどが4月に始まり、3月に終わる。当然、これまでの学生サッカーもそれに対応するように春に開幕、冬にその年の集大成を迎えるスケジュールを組んできた。

 しかし秋春制に移行されれば、学年の途中で新シーズンが始まることになる。中野理事長も「移行となれば、どうしても期ずれが生じる」と懸念。「仮にプロが内定している選手が、事前キャンプは2か月前から始まるのであれば、4年生の6月にプロに行きたいという選手が出る。そこをどういうルールでやるかが決まっていない。でももし100名近い選手が6月で大学を辞める、もしくはプロ側に籍を移すとなると、社会問題に発展する」と語気を強める。

「大学連盟としてはこのままの形を維持していくことも考えているが、今は議論していくべき段階。移行した場合に、スケジュールを動かさなければ、現状の時期は変える必要はないと思っている。移行に合わせたスケジュールにする場合、大臣杯を冬に持ってきて、インカレを6月に持ってくるというのは、検討材料になってくる。ただ積極的に考えているかというと、今までのスケジュールが当てはまると現状は思っています」

 また大学側の意向も考慮しなければならないとも話す。中野理事長は「スポーツ推薦の選手が途中でやめることに対する、ほかの運動部との兼ね合い。あとはせっかく大学で単位を取ったのに、サッカー選手が終わってからのキャリアを考えると、あまりに専門的な要素が強くなりすぎることがいいものだろうか、と。途中でプロに誘われてプロに行くケースを否定はしないし、各大学の方針も違うが、様々な角度から議論して考えないといけない」と今後の更なる議論の必要性を説いた。

(取材・文 児玉幸洋)
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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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