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[関東]慶應義塾大で初めて共闘した塩貝兄弟の固い絆…有望株の弟・健人へ、兄・亮太「楽しいと思うことに熱中してほしい」

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塩貝健人(左)と塩貝亮太

[12.2 2部参入プレーオフ 青山学院大1-2慶應義塾大 浦安]

 大学1年生と4年生。これまで交わることのなかった兄弟が、初めて1年間を一緒に駆け抜けた。

 慶應義塾大が1年での2部リーグへの復帰を決めた。MF塩貝亮太(4年=暁星高)はこの日、後半6分に決まった追加点でアシストを記録。FW塩貝健人(1年=國學院久我山高)は得点こそ奪えなかったが、相手のマークを引き付けて決定機を演出した。

 高いレベルで刺激しあえた。兄の亮太も中学時代はMF山本理仁やMF藤田譲瑠チマ(ともに現シントトロイデン)らと一緒に東京ヴェルディジュニアユースに所属。「彼らと互角にできた」と誇れるほどのサッカーキャリアを積んできた。

 そんな亮太が「あのレベルの選手とプレーする機会はそうなかった」と一目置くのが、弟の健人だ。3歳離れていることもあって、これまで同じチームでプレーすることはなかったが、高校、そして大学で一気に力をつけた健人には、すでにJスカウトが密着している様子がみられる。

 お互いに我が強く、「他人の意見を受け入れないタイプ」。そのため、慶大に進学する際も健人が亮太に相談することはなく、大学で一緒にプレーするようになってからも、話せばプレーの文句の言い合いになったと笑う。ただそんな日々が楽しかった。「弟だから負けたくないのはあった。結果的に得点数はダブルスコアつけられたけど、一緒に出来てよかったです」。

 この試合で大学サッカーを終えた亮太は、卒業後は一般企業に就職する。サッカーについて、「体がついてくる限りは社会人でやりたい」という希望を持つが、第一線は退くことになる。次はおそらく、Jリーガー、そして代表選手へと成長していくであろう弟の健人を見守っていく立場になる。

 亮太も「期待しちゃうと重荷になっちゃうかもしれないけど、好きなことをやってほしい」と期待を寄せる。「それがプロサッカー選手だったらそれを楽しんでほしいし、彼は賢いのでサッカー選手じゃなくても生きていける。一番楽しいと思うことに熱中してもらえればいいかなと思います」。

 最後に兄弟で写真を撮ってもいいですか。健人と少し話したあと、お願いして亮太を電話で呼び戻してもらった。「お前も来いだって」。ぶっきらぼうな物言いに、どこか微笑ましさを覚えてしまった。「折り合わない」という2人だが、そこがまた男2人兄弟のいいところ。“嫌々”ながら肩を並べてみせてくれた照れ笑いに、固い絆を感じた。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学リーグ特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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