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[MOM3698]履正社MF竹腰智也(3年)_ダイナミックな動き増加。注目MFに復調の気配

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履正社高のゲームキャプテンMF竹腰智也がサイドへ抜け出す

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 履正社高 1-0 金沢U-18 バルコム]

「なんでこんな試合になっちゃったんだろ。試合前にハッパをかける意味で『内容は関係ない。結果が大事だぞ』とは言ったけど、本当にそうしなくても…」。試合後の平野直樹監督が苦笑いした通り、この日の履正社高は白星を掴んだものの、誉められる試合内容ではなかった。それはゲームキャプテンであるMF竹腰智也(3年=京都U-15出身)も同じ。本人もこの日のパフォーマンスには満足していなかったが、要所では流石と唸らせるプレーを披露した。

 上手く行かなかった原因は明確にある。「立ち上がりは全体的にみんなで前からどんどん圧力かけて戦おうとしていたのですが、90分間同じペースでやり続けてしまったのが良くなかった。攻撃の時は一人ひとりの距離が遠かったり、止まっている選手が多かった。そこは次に向けて改善したい」。後半に入ってからは、蹴る回数が増えてしまったのも反省点。「ボランチが落ちて受けたり、工夫をしないといけない。今日の出来を相手が見に来てくれていたら、油断してくれるとはず。2時間ぐらいミーティングして、次に繋げられたらなって思います」

 目立つ内容ではあったが、竹腰自身のプレーからは復調の気配が漂っている。2年生ながら出場機会を掴んだ昨年は、パートナーを組んだMF平岡大陽(現・湘南)やMF赤井瞭太(現・流通経済大)のサポートを受けて、ノビノビとプレー。3列目でシンプルに叩き、飛び出しからゴールに絡むプレーは効果的で、Jクラブからも注目されていた。

 だが、今年に入ってからはチーム事情で、アンカーでのプレーが増えた。守備にウエイトを置かなければいけない状況になり、持ち味であるダイナミックさが鳴りを潜め、消化不良の印象が強かった。本人はこう振り返る。「今年になって、変に気負い過ぎっていうか、バランス崩さないようにと気を遣いながらやっていた。それで、なかなか自分のプレーを出せなかった」。

 選手権予選が近付いた秋以降は、平野監督から「ゴールに近づくプレーや、ダイナミックな動きを増やしていけ」と言われた事で、再び自分のプレースタイルを見直し始めた。システムが4-4-2のダブルボランチとなり、守備が特徴のMF森川楓大(3年)と組んだ事で、前に出やすくもなった。

 また、選手権予選の決勝では負けてからは「こんなんじゃいけない」と思い、得点への意欲が更に高まった。この日の金沢U-18戦でも、前半12分に左サイドを抜け出したFW宮路峻輔(3年)からのパスに後方から飛び込んで、ミドルシュート。後半38分にも、左を抜けたFW廣野大河(3年)のパスを思い切りよく走り込んでいった。得点には至らなかったが、2つのプレーは可能性を感じるプレーだった。

 そうしたプレーの変化に伴い、プリンスリーグ関西のラスト5節では4ゴールをマーク。「この大会で勝てば来年にも繋がる。最後、自分たちも良い形で終われるよう昇格したい」と意気込む次の讃岐U-18(四国1)では貪欲な姿勢でゴールを奪い、チームの勝利に貢献してくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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