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半年間の離脱もプラスに。高体連屈指の守護神、東福岡GK須田純弥主将は個人のことよりもチーム

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東福岡高のチームリーダーで高体連屈指の守護神、GK須田純弥

[10.12 高円宮杯プレミアリーグWEST第8節 静岡学園高 6-3 東福岡高 時栖富士]

 “赤い彗星”こと名門・東福岡高のリーダー。GK須田純弥主将(3年=小倉南FCジュニアユース出身)は長期離脱していた期間に気づいたこと、部員たちの思いをAチームに伝えるなど精力的な言葉がけで東福岡を立て直してきた。

 05年早生まれの長身GK須田は、1年時からU-15日本代表候補に選ばれ、選手権も登録メンバー入り。当時から抜群のセービング能力やハイボール対応などを見せていた守護神は昨年、正GKとしてチームを選手権予選突破へ導いている。

 U-17日本代表候補にも選ばれていた須田は、PK戦での圧倒的な強さを含め、昨年度の段階で高体連屈指の守護神と言える存在だった。だが、選手権1回戦の試合開始前練習で肩を脱臼し、半年間離脱。新チームでキャプテンを務めることになったが、「めちゃくちゃもどかしい気持ちでいっぱいだった」と振り返る。

 ピッチの外からチームの戦いを見つめる悔しい日々。それでも、「キャプテンという立場があるのでしっかりサポートしてあげられることはサポートして、その中でも試合を見ながら自分が出た時はどうするのか常日頃から考えていました」。Aチームの選手たちや後輩GKに助言を送りながら、自身は肉体強化。復帰を目指す中でセービング能力もレベルアップさせてチームに戻ってきた。

 東福岡はプレミアリーグWEST開幕7試合で3勝4敗。インターハイ予選では準々決勝でPK戦の末に敗れた。7月に復帰した須田はまずチームメートへの言葉掛けや練習・試合で率先して声を出すことを意識したという。

「まずは自分が怪我を体験している中で下にいる選手たちの思いだったり、色々考えられるきっかけにもなったので、そういうことをしっかり今出ている選手たちには日頃から言うようにしてきて、やっぱり自分が戻ってきたからにはしっかりチームを勝たせられるように、声だったり日頃から出すようにしています」

 須田が復帰したプレミアリーグWEST・清水ユース戦(7月10日)で東福岡は2-1勝利。そこから名古屋U-18、G大阪ユース、C大阪U-18相手の3連勝を含む6試合連続負けなしと状態を上げてきた。

 その間の失点数は激減。森重潤也監督も「シュートストップも含めて安定しているなという感じがしていた」と評価する。怪我さえなければ、今年も年代別日本代表や高校選抜入りの可能性が十分にあったはずだが、主将は周りのGKのことはほとんど意識せず、チームのことばかりを考えてきたという。「キャプテンという立場になってから個人的にいろいろなことを考えるより、チームとして考えることが多くなったので、他のGKに勝とうとかというのは、無いです」と言い切る。

 この日の前半は、静岡学園高相手に隙の無い戦いを見せながらも、2-0から逆転負け。クロス、セットプレーから失点を重ねてしまった。その中で須田は2つのスーパーセーブ。静岡学園の川口修監督も「2本やばかった。スーパーだった。あの反応は素晴らしい。あれを止めるというのは凄い」と須田の才能を評価していたが、一方でビルドアップでのミスが増えてチームの攻守を安定させられなかったことも確かだ。

「以前に比べては若干成長したかなというのがあるんですけれども、まだ全然6失点してしまう部分もあるので、メンタル的な部分だったり、まだまだだと思います」。東福岡はこの日の敗戦で3連敗。主将は個人としても課題改善に取り組み、チームとして良い流れを持って今月末からスタートする選手権予選に臨む考えだ。

「まずプレミアリーグは選手権(予選)まで高体連しか残っていない。きょう負けちゃったんであと2試合勝って、選手権も福岡県予選からしっかり圧倒できるようにして、全国に繋がるようなゲームをして行って、最終的には全国優勝だったり、プレミアも上位まで食い込めるようなチームにしていきたい」。主将は東福岡の勝利のためにできることを全うし、目標達成へ近づく。

(取材・文 吉田太郎)
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