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今年の戦い方を少しずつ理解し、表現。選手権に挑む青森山田は県予選から「一戦必勝で」

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青森山田高のエースFW小湊絆は選手権で「一戦必勝」を誓う

[10.16 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 流通経済大柏高 1-1 青森山田高 流通経済大柏高G]

 青森山田高は後半アディショナルタイムにCKから左SB西脇虎太郎(3年)が執念の同点ゴール。アウェーで勝ち点1をもぎ取った。

 前半は一つひとつのプレーで盛り上がるアウェーの雰囲気に飲まれてしまう部分があった。ベンチのCB小林康人(3年)が一際チームを鼓舞していたが、ピッチではプレッシャーが甘くなってしまうなどなかなかやるべきことを徹底できず、0-1で前半終了。それでも、「『球際で1つも負けちゃダメだ』と話して」(FW小湊絆、3年)臨んだ後半は迫力のある攻守によって、終始敵陣で試合を進める。

 後半開始から右SHに投入されたMF奈良岡健心(3年)が馬力のある仕掛けとロングスローを連発。CK、スローインを幾度も獲得し、セットプレーやカウンター攻撃で相手ゴールを脅かした。また、同じく交代出場のFW武田陸来(3年)が前線で身体を張って起点に。後半だけでシュート10本を相手ゴールに打ち込み、終了間際に1点を奪った。

 青森山田は最終ラインで190cmCB小泉佳絃(2年)が一本立ち。一時期先発を外れていたCB三橋春希(3年)も巻き返してきている。また、黒田剛監督が「精度がもうちょっと上がってくれば良いけれどね。経験値は必ず生きると思う」と評した1年生ボランチMF谷川勇獅も、球際激しい攻防戦でアグレッシブな攻守。素晴らしい展開でチャンスの起点にもなっていた。

 8月のフェスティバルで負傷したDF多久島良紀主将(3年)を欠いている状況ではあるものの、ここへ来てメンバー構成、戦い方も固まってきている印象だ。黒田監督は「90分通じて自分たちがどういう戦い方をすれば負けないか、少しずつ理解できたと思う」と評し、ゲーム主将を務める小湊も「サイド攻撃や前からガンガン行くところは夏前に比べたら戦い方が固まってきたと思います」。3冠の次世代は、前期のプレミアリーグで喫した5連敗や、インターハイ初戦敗退という悔しい経験を重ねながらも学ぶ姿勢を続け、着実に前進してきている。

 昨年度の3冠と比べると難しいシーズンになっていることは確か。それでも、プレミアリーグEASTで高体連トップの暫定5位(8勝3分7敗)、現在2位の横浜FMユースや3位・FC東京U-18を破るなど、評価に値するような結果を残している。

 夏から切り替えて迎えた9月のプレミアリーグ再開2試合で連敗。そこで気持ちがより引き締まったという。「足りていなかったかなと思います。ズルズル負けていたら前期の負けていた時に後戻りするぞみたいな感じだったので、取り返しつかなくなる前に自分たちで改善しようと」(小湊)。そこからさらにやるべきことを徹底。昨年度のようにハイレベルに何でもできるチームではないかもしれない。また、甘さが出てしまう部分もまだあるが、この日の後半のような攻守、また集中し、粘り強く戦うことができれば、プレミアリーグでより上位に、また選手権でも目標とするステージに立つ可能性は十分にある。

 全国連覇を狙う選手権の青森県予選は、11月3日の準決勝が初戦。小湊は「(全国大会で)2連覇できるのは自分たちだけなので、(全国大会に出場すれば)シードも与えてもらっているので、去年に比べて接戦の試合が続くと思うけれども一戦必勝で県大会から頑張っていきたい」。指揮官の去就についての報道もあったが、チームはブレずに目の前の戦いに集中。まずは10月23日のプレミアリーグEAST・柏U-18戦で勝利し、選手権予選で青森26連覇に挑む。

(取材・文 吉田太郎)
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