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[NEW BALANCE CUP]大会を通して成長、逆境力発揮の流経大柏が“裏選手権”制覇!

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流通経済大柏高が「NEW BALANCE CUP」制覇

[1.6 NEW BALANCE CUP決勝 流通経済大柏高 1-1(PK4-2)八千代高 時之栖裾野G]

“裏選手権”は流経大柏が制す――。「NEW BALANCE CUP 2023 IN TOKINOSUMIKA」(通称:“裏選手権”)は6日午後、決勝を行い、流通経済大柏高(千葉)が参加36校の頂点に立った。八千代高(千葉)との決勝は、1-1で前後半を終了。流経大柏はPK戦を4-2で制し、優勝を果たした。

 千葉県勢対決となった決勝は互いに譲らず、PK戦へ突入。ともに今大会3試合目となるPK戦は2人目、流経大柏GK土佐昂清(2年)が左へ跳んでストップする。流経大柏はその直後、3人目のシュートがポストを叩いたものの、八千代も4人のシュートがクロスバーをヒット。最後は流経大柏の5人目・大型MF塩川桜道(2年)が右足で決め、決着をつけた。

 流経大柏はオール2年生で“裏選手権”に臨んだ。指揮を執った高橋隆コーチは「下級生の方が、と言われている代ですから。この大会でだいぶ伸びたから、伸びてきた分、勝たせてあげたかった」と微笑む。流経大柏は年末のフェスティバルで1年生チームが他校の上級生たちを破って優勝していた。負けられないという意地。何より、「みんなで勝ちたいという気持ちが多かった」(MF中田旭、2年)という思いの強さが、優勝に結びついた。

 八千代は多彩なアタッカー陣と粘り強い守備、そしてPK戦の強さも発揮して決勝進出。立ち上がりは八千代が強度の高い守備を連発していたが、攻守の勢いに勝る流経大柏が同県内のライバルを押し込む。7分、中田の左FKを桜川が頭で合わせ、18分にも左サイドからカットインした10番MF笠松良緒(2年)が右足を一閃。だが、八千代GK德田桂音(2年)が反応する。

 流経大柏はゲーム主将の中田が球際でガチッと止めて見せるなど、強度や運動量、精度の部分で少しずつ差を生み出す。29分にはコンビネーションで攻め上がった左SB山口裕也(2年)がクロス。これをMF田中ショーン涼太(2年)が頭で合わせるが、シュートは八千代GK德田がはじき出した。

 八千代は我慢の展開が続いたが、集中した守りを継続。そして、速攻でFW田中拓光(2年)が粘り強くボールを収め、MF中西桃二郎(1年)も球際の強さと落ち着いたボールさばきを見せていた。また、いずれも昨年から先発の右SB吾妻蒼太主将(3年)の質の高いキックやMF西村元汰(2年)のキープ力も活用して対抗。そして34分、吾妻の左CKをファーのCB實川颯真(2年)が頭で折り返す。最後は混戦から田中がゴールへ押し込み、先制した。

 リードした八千代は良い流れを維持したまま前半を終了。後半立ち上がりにも交代出場FW佐々木太朗(1年)がPAへ潜り込んでシュートを放つ。一方の流経大柏は、笠松が絶妙なトラップ、ターンなどで存在感。後半19分に3バックへ移行し、クロスなどからゴール前のシーンを作り出した。

 八千代は選手交代で質と運動量を維持。實川らDFラインが中心となって1点リードを守り続ける。だが今大会、0-2から追いついてPK戦で勝利する試合もあった流経大柏は、気持ちを落とさずに反撃。そして32分、敵陣でボールを奪い返すと、左サイドの山口がDF桜川とパス交換する。そして、山口はカットインからPAへ斜めのラストパス。ニアの中田の動きで八千代DF陣に綻びが生じ、ファーへ流れたボールをFW中村大翔(2年)がトゥーキックでゴール右隅へ押し込んだ。

 同点。流経大柏はMF宮川恋(2年)のスピードを活用した攻撃で畳み掛けようとするが、八千代も崩れず、鋭いカウンターなどから勝ち越し点を狙う。千葉決戦は1-1のまま80分間を終了。PK戦の末、流経大柏に軍配が上がった。流経大柏のチームリーダー、中田は「去年、この代はプリンス(リーグ関東1部で)主に戦っていて降格したので、それが悔しくて『逆境を乗り越えよう』とみんなで言ってやってきたので、そこは強くなったと思います」とチームの原動力となっている部分について説明する。

 U-15日本代表候補歴を持つMF新保柊祐(2年)らが怪我で不在。それでも仲が良く、サッカー好きが揃っているという代はリードされても跳ね返す逆境力や質も向上させ、“裏選手権”制覇で新シーズンへの弾みをつけた。

 中田は「優勝できてめっちゃ成長できたので、そこは良かったけれど、シーズンを通しての強さはまだ全然ないと思うので、成長したところを伸ばして強化しつつ、シーズンまでまだ時間があるので、色々な面で成長できれば良い」と力を込めた。全国舞台で抜群の強さを発揮していた「強い流経」を取り戻すための戦いは、まだ始まったばかりだ。自信をつけた2年生が中心となって力を磨き、1年後の選手権制覇を目指す。
 
(取材・文 吉田太郎)

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