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対流経大で圧巻の動き。FW塩貝健人は日本高校選抜の活動を五輪、W杯への足がかりに

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日本高校選抜候補FW塩貝健人(國學院久我山高3年)は流経大相手に抜群の動き

[1.21 練習試合 日本高校選抜候補 3-2 流通経済大 時之栖裾野G]

 大学生相手に圧巻の動き。日本高校選抜候補のタレントや関係者たちを驚かせている。FW塩貝健人(國學院久我山高3年)は流通経済大との練習試合(30分×3本)の2本目に出場。1ゴールを決め、高速ドリブルで決定機も作り出したFWは「行けるんですね、意外と」と改めて手応えを感じた様子だった。

「サイドで持ったら、9割、いや10割抜けるんで」と豪語する塩貝は、サイドでの1対1でDFを圧倒。ボールをスペースへ持ち出すと、驚異的なスピードと馬力で相手を置き去りにし、クロス、ラストパスに繋げていた。2トップを組んだU-19日本代表候補FW小林俊瑛(大津高3年)は「選手権前に國學院とやった時に凄い選手だなと。一緒にやってみても凄い選手だと感じました」と説明。ベンチのコーチ陣も唸らせるような動きだった。

 國學院久我山では1トップ。ほぼ中央から動かずにプレーをしていたが、日本高校選抜候補は2トップを採用しているため、サイドへ流れて個でチャンスを創出していた。そして、MF廣井蘭人(帝京長岡高3年)のスルーパスで完璧に抜け出してゴール。「代表常連のめっちゃ有名な選手なので、(チームでは来ないようなパスが)あそこに来るんだと。レベルの高い選手とやるのは楽しいですね」と微笑んでいた。

 タイプは異なるだろうが、日本代表MF伊東純也の大学時代を思い起こさせるような異質の速さ。「代表はまだ早いかもしれないですけれども、後々入り込んでいけたらなと思います」。予定する進路は関東大学3部リーグということもあり、多くの人に見られる機会を大事に。「自分はワールドカップとかオリンピックを目指している」というFWは日本高校選抜の活動もステップアップに繋げる考えだ。

 元々はテクニカルなプレーヤーだったが、高校進学後に肉体強化し、身体を思い通りに動かせるまでトレーニング。2年時から目立っていたFWは昨年、國學院久我山でゴールを量産した。特にスピード、強さ、得点力は世代トップクラスと言えるもの。一方で課題もある。

 國學院久我山グラウンドはスペースが限られていることもあり、クロスを上げることも合わせることも練習してこなかったという。その点の練習はこれから。また、この1年、対高校生でほぼ無双していたフィジカルコンタクトも、流経大相手では2度3度と競り負けていた。

 それだけに、「もうちょっと身体を強くしていかないと。5kgくらい増やしたい」と強化する必要性を口にしていた。すでに大学へ練習参加し、守備のレベルアップにも取り組んでいる最中。「(高校時代の)自分はどっちかと言ったら王様プレーヤー。でも、前田大然選手とか守備から入る。守備をしながら今のクオリティで攻撃出せる体力や走り込みはしている」。中学時代は練習試合の出場機会もなかなか得られなかったという。そこから相当な努力で高校トッププレーヤーの一人になったFWは、ここからの4年間でさらに進化を遂げて目標に近づく。

 選手権は、優勝校・岡山学芸館高との3回戦でPK戦の末に敗退。相手の脅威になり続けたが、無得点に終わり、PKを失敗して涙を流した。「最悪でした。マジで悔しかったです。優勝して久我山に恩返しすることはできなかったんですけれども、この先、自分が個人的にステップアップして、李(済華)監督や顧問の先生も自分をキャプテンにしてくれて、チームメートも自分に付いて来てくれたので、こういうチャンスを逃さないで活躍して、上へどんどん行って『久我山の塩貝』と言われて恩返ししたい」。まずは日本高校選抜の海外遠征メンバー入りを果たし、結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)
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