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U-18日本代表GK中村圭佑が静岡学園の新主将に就任。自分から発信して仲間を巻き込み、「隙のないチーム」へ

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静岡学園高の新リーダー、U-18日本代表GK中村圭佑(2年=FC東京U-15むさし出身)

[1.28 静岡県新人大会準決勝 磐田東高 1-2(延長)静岡学園高 愛鷹]

 貴重な経験を経て、明らかに意識も、表情も変わってきている。GK中村圭佑(2年=FC東京U-15むさし出身)は昨年から名門・静岡学園高のゴールを守る守護神。1歳年上のU-18日本代表として国際大会も経験している世代屈指のGKだ。

 今年は静岡学園の主将に就任。準決勝ではゴール前へ抜けて来る難しいボールを処理したほか、他のGKとの違いと言えるキックも披露した。中でも印象的だったのが、声。積極的にフィールドプレーヤーへの声がけを続けていた。

「去年とかは主体性を持ってできなかったというか、一個下で少し言えない部分があった。去年はその甘さが出てしまった。今年はなくして、声は一番出さないといけないし、厳しいことも言うべきことは言わないといけない」

 チーム作りで意識していることは、積極的な発言で周囲の選手の発言を引き出し、どんどん巻き込んで行くことだ。「まずは自分が発言していけば、周りもどんどん発言してくれると思う。まだ全然周りは巻き込めていないので、ここから自分がやれることをやり続けていきたい。チームとして一人ひとりのレベルが上がって、意識も高くなっていけば隙の無いチームになっていくと思う」

 24日までJ1クラブのキャンプに参加。「今の自分の力だったら全然通用しないなと思ったので意識が変わりました」。Jリーガーたちの練習、またピッチ外の取り組みを見て、より日常生活からサッカーに費やさなければならないと痛感させられたという。

 昨年練習参加した際に比べると、「まだまだ半々くらいですけれどもシュートを止められるようになったし、体も動くようになった」。ポテンシャルへの期待が大きいGKはこれからの1年でプロのGKたちとの差を少しでも詰めていく考えだ。

「ビルドアップのところはちょっとできましたが、ハイボールのところやシュートストップのところはもっとやっていかないといけないと思います。シュートを止めるところやパワーを発揮するところは本当に足りないと思ったんで、今年一年詰めるだけ詰めたい」

 これまでは大学進学も考えていたと言い、周囲にも大学進学を勧める声がある。ただし、本人は今回のキャンプを経験して「オレはプロで勝負する、という覚悟は決まりました」。今冬、選手権の舞台に立てなかった世代屈指のGK。進路はプロを第一に熟考して行くことになりそうだ。

 今回の予選敗退の悔しさは忘れない。「本当に悔しいですね。でも、終わってしまったので、終わった時点で最後の年で日本一取ると決めて周りにも発信して、チームとしては日本一を取るという気持ちでいる。まずはチームなんで、自分だけやってもダメなので自分が経験したことも周りに伝えますし、チームがどんどん勝ち上がっていけば自分の評価も上がっていくと思うので、自分の実力を伸ばしつつチームの結果にもこだわってやっていきたい」。浅野利紀GKコーチも「(キャンプから)帰ってきてから表情が変わりましたね」というように、注目GKは表情、立ち振舞も変化している印象だ。まずは、もう一つの目標である静岡3冠へ向けて29日の新人戦決勝で勝つこと。名門の新リーダーが、成長と勝利を目指して1年間を過ごす。

(取材・文 吉田太郎)

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