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[J-VILLAGE CUP U-18]「再チャレンジ」の川崎F U-18が参加20チームの頂点に。大宮U18をPK戦で下す

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川崎フロンターレU-18が第5回 J-VILLAGE CUP U-18優勝を果たした。

[3.21 J-VILLAGE CUP U-18決勝 川崎F U-18 0-0(PK7-6)大宮U18 Jヴィレッジ]

 第5回 J-VILLAGE CUP U-18(福島県・Jヴィレッジ)決勝が21日、Jヴィレッジスタジアムで行われ、川崎フロンターレU-18(神奈川)が参加20チームの頂点に立った。川崎Fは決勝で大宮アルディージャU18(埼玉)と対戦。0-0で突入したPK戦を7-6で制した。大会MVPは川崎FのMF由井航太(2年)、同MIPは大宮のCB市原吏音(2年)が受賞している。

 プレミアリーグEAST勢対決となったファイナル。川崎Fは前日の最終節で前回王者・U-17日本高校選抜を1-0で下すなど、3連勝の予選リーグ首位で決勝へ進出した。決勝は、GK濱崎知康(2年)、DF江原叡志(2年)、山中大輝(1年)、林駿佑(中3)、元木湊大(2年)、MF由井、名賀海月(2年)、加治佐海(1年)、志村海里(2年)、尾川丈(2年)、FW岡崎寅太郎(2年)が先発メンバーに名を連ねた。

 一方の大宮U18も予選リーグ3連勝、2位で決勝進出。GK清水飛来(1年)、DF浅井一彦(2年)、市原、真壁拓海(2年)、大西海瑠(1年)、MF依田功太(2年)、山中大智(1年)、安部直斗(2年)、種田陽(2年)、FW高橋伸太朗(2年)、菊浪涼生(1年)の先発11人で決勝に臨んだ。

 前半から川崎Fが主導権を握る展開に。ボールを保持し、攻撃のリズムを変えながら相手にプレッシャーをかける。山中、林のロングフィードや尾川、志村、岡崎のドリブルも交えた多彩な攻撃。また、セカンドボールを由井らが続けて回収するような時間帯もあった。

 20分には岡崎がドリブルシュート。23分には由井がゴール前に潜り込み、最後は岡崎が左足シュートへ持ち込む。だが、これを大宮CB真壁がブロック。真壁は39分にも相手のチャンスでシュートブロックし、抜群の高さを見せていた大黒柱・市原とともに堅守を発揮していた。
 
 その大宮は相手エンドライン付近でのインターセプトでチャンスになりかけたシーンがあったほか、依田がドリブルでボールを運び、37分には山中がドリブルシュートを放つ。だが、攻め急いでボールを失うシーンも多い展開となった。

 川崎Fは長橋康弘監督が「私ら攻撃のところで皆さんに評価して頂いておりますけれども、守備のところも本当にこだわっていますし、行った先で困るような選手は育てたくないので、昨年以上に上げていかないところでやっている。選手たちがこだわってくれて、チャレンジしてくれた大きな部分だと思います」という守備。切り替えも速く、大宮はなかなか攻め切ることができなかった。

 川崎Fは40分、CK後の混戦から林がゴールへ蹴り込むも、直前にファウルがあったという判定でノーゴール。GKを菊池悠斗(2年)へ入れ替えた後半の7分には、名賀の右FKを山中が頭で狙うが、クロスバーをヒットした。

 大宮も試合終盤にかけて流れを引き寄せる。右SH安部がインターセプトからドリブルで持ち上がったほか、左SH種田が一気にドリブルで前進するシーンも。大型FW高橋岳(2年)を投入した大宮はセットプレーも含めて相手に圧力をかける。だが、川崎Fは高校生進学前のCB林が的確なインターセプト、シュートブロックを見せ、山中が後方をカバーするなど決定打を打たせない。

 川崎FはFW高橋宗杜(2年)やMF中原章雅(1年)、MF矢越幹都(1年)を送り出し、岡崎の連続シュートや高橋のシュートでゴールへ迫る。だが、大宮GK清水に阻まれるなど得点を奪えない。試合終盤は非常に激しい風雨。ミスが起きてもおかしくないような状況だった。だが、互いに集中力を切らさず0-0で90分間を終了。タイトルの行方はPK戦に委ねられた。

 PK戦は後攻・川崎Fの1人目を大宮GK清水がストップ。だが、川崎Fは直後の大宮2人目をGK菊池が止め返す。U-18日本代表候補GK濱崎に注目が集まるが、由井が「(シュートストップは)得意ですね。1対1も得意ですし間合いの詰め方も上手い」と評したもう一人の守護神・菊池の大仕事。この後、互いに決め続けて迎えた8人目、大宮のシュートがクロスバーを叩く。直後に川崎Fの矢越が右足で決め、決着をつけた。

 川崎Fの今年のテーマは「再チャレンジ」だ。昨年はプレミアリーグEASTで初優勝を果たしたが、日本一をかけたファイナルでWEST優勝の鳥栖U-18に惜敗。その悔しさを忘れず、まずは「一つ一つ目標を達成していきたい」(長橋監督)。今大会は全4試合無失点V。こだわりの攻撃でも1、2戦目で計12得点を挙げ、接戦で勝ち切る勝負強さも見せた。

 川崎Fは今大会、関係者から個々の上手さや、チームとしての強さを高く評価されていた。だが、他のクラブにはすでにトップチームデビューを果たしている高校生がいることを指揮官は指摘する。

 そして、「トップ昇格がゴールではなく、行った先で活躍しなければならないし、その活躍をするのが今の時期でも良いでしょう、という話をしていて、その基準を私らが示さないと。何年後に(トップへ)行ければいいや、では成長が止まってしまう。そのような(高校生でトップデビューするような)選手が一人でも出ればグループとしても強くなる。私らはそこから逃げたくないので。個が大きくなればチームって強くなるよね、というところには重きを置いていきたい」と語った。

 由井は「チームとしても、個人としても成長していかないといけないと思っているので、プレミアで戦いつつ、勝ちつつ、成長して、去年取れなかった日本一を取れれば良いかなと思っています」と日本一も目標に掲げた。J-VILLAGE CUPU-18で各チームは新シーズンへ向けた現在地を確認。また、東日本大震災・原子力災害伝承館に訪れ、サッカーができることは当たり前のことではないことを学んだ。一日一日を大切に、仲間たちと切磋琢磨。優勝チームの川崎Fをはじめ、各チームは地元へ戻って学んだことを伝え、再び個人、チームの成長を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

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