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両親はアルペンスキーで活躍。旭川実の10番FW和嶋陽佳は馬力の強さにスピード感も加えて「相手に脅威を与えるようなFWに」

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旭川実高の攻撃の中心、10番FW和嶋陽佳(3年=アンフィニMAKI.FC出身)

[4.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第2節 前橋育英高 3-0 旭川実高 前橋育英高高崎G]

 旭川実高(北海道)は4月1日の開幕戦で前年度2位の横浜FMユース(神奈川)を2-0で撃破。11年前は未勝利(1分17敗)で終えたプレミアリーグEASTで初白星を飾った。周囲の見る目を変えたチームは、この日も昨年のインターハイ王者・前橋育英高(群馬)相手に渡り合っていたが、ゴール前の攻防で差をつけられて0-3。横浜FMユース戦の勝因となった部分を発揮することができなかった。

 攻撃面では、10番FW和嶋陽佳(3年=アンフィニMAKI.FC出身)が馬力の強さを活かして前線でポイントを作り、富居徹雄監督が「身体の強さやスキルはちょっと強みがありますよね」と評した左SH柴田龍牙(3年)はDF2人の間を突破してシュートへ持ち込んだほか、縦突破でも存在感を放っていた。後半は右SB庄子羽琉主将(3年)が右サイドからチャンスメーク。交代出場組も含めてゴール前のシーンを作っていたが、この日は相手の好守に阻まれるなど決め切ることができなかった。

 抜け出しからシュートも放っていた和嶋は、「相手に脅威を与えるようなFWになりたいです」というストライカー。「両親がスキーの選手だったので。日本代表とお母さんも大回転とかで日本一に」というように、父・光隆さん、母の真紀さんともにかつて国内トップクラスのアルペンスキーヤーで、日本一や日本を代表して世界と戦った経歴の持ち主だ。

 自身も小学4年までスキー、また水泳もやってきたという和嶋は、「(馬力の強さは遊びも含めてスキーの経験が)活かされていると思います。(親から)『オマエはあまり怪我しないから、どんどんやって良い』と言われています」という身体の強さがウリ。この日もタイミング良くDFに身体を当ててボールを収めたり、力強いドリブル、スペースへの飛び出しで守りをこじ開けようとするなど相手を押し返す一因になっていた。

 だが、「スキルがある方じゃないので身体で持っていくことだったり、先に当たっておくことが大事なんですけれども、まだ足りないです。当たってズレを作ってからプレーしないとこのレベルでは潰されてしまう」と反省。得点にこだわりすぎるのではなく、まず自分の役割をしっかりと果たすことを誓う。
 
 昨年はプリンスリーグ北海道で7得点。「去年、プリンスであまり良くない時期があって、その時は得点をいっぱい取った後の時期だったので、得点を欲しがりすぎるのとあまり良くないかなと思います」と自己分析する。だからこそ、まずは自分のやるべきことを徹底すること。スピード感もまだまだ足りないと考えている。この日は気持ちの面を含めてアップでの準備が不十分だったことも課題に挙げ、次の戦いでよりチームに貢献することを誓っていた。

 スキー以上にサッカーの魅力を感じたのは、「(雪の北海道で屋)外と中限らず、自分はFWだったので自分は点を決めることが一番楽しかったです」という理由から。もちろん、ストライカーとしてゴールを貪欲に目指していくが、FW福田師王(現ボルシアMG)のような身体の使い方を身に着けてよりチームに貢献するFW、そして怖いFWになることを目指していく。

 豪雪地帯の旭川は冬場、風のない室内トレーニングが増えるが、この日は前橋育英に上州特有の強風、ピッチの幅を上手く活用されてしまった。ゲーム勘の部分もリーグ戦を重ねながら向上させていかなければならない。また、富居監督が「トランジッションは(どの相手も)みんな速いけれど前育さんは前に出てきましたから。ウチがやっていかないといけないところだと思う」と語っていたように、プレミアリーグの対戦相手の良さも吸収しながら、攻撃のスピードも高め、ゴールと白星に結びつける。
 
(取材・文 吉田太郎)
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