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結果が出なくても変わらぬ姿勢。先発復帰の矢板中央MF井上拓実主将は「メンバーに感謝したい」

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MF井上拓実主将(3年=ガンバ大阪門真ジュニアユース出身、右端)は矢板中央高のチームメートに感謝

[4.15 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第3節 矢板中央高 2-2 桐生一高 矢板中央東泉G]

 連覇が5で止まった選手権予選に続き、新チームもなかなか結果が伴わなかった。栃木県新人戦は準決勝敗退。フェスティバルでは苦戦が続き、プリンスリーグ関東1部でも鹿島ユース(茨城)、東京Vユース(東京)に僅差の戦いを演じたものの、連敗スタートだった。

 この日も桐生一高(群馬)に2点を先取される苦しい展開だったが、矢板中央高(栃木)は追いついて大きな勝ち点1獲得。MF井上拓実主将(3年=ガンバ大阪門真ジュニアユース出身)は、「春先3か月間あって、全然結果出なくてもトップチームのメンバーが練習前のアップだったりを結果問わず、全員がモチベーション高くやってくれて、自分の力じゃないんですけれども、メンバーに感謝したいですね」と感謝した。

 ピッチでの成長を示す一戦だった。前半10分に混戦から失点。これまでは連続失点することが多かったというが、相手にボールを支配される中で踏ん張り、試合の流れを変えた。自分たちのペースで迎えた後半26分にセットプレーから再び失点。それでも、崩れず、逆に相手のミスを突いて交代出場FW堀内凰希(2年)が2試合連続ゴールを決める。

 そして後半44分、一際勝利への執念を見せていたCB梶谷皇光斗(3年)が同点ヘッド。井上は「最後仕留められたのは自分たちの強み」と胸を張った。主将の井上や経験値豊富な梶谷、MF小森輝星(3年)らがチームを盛り上げ、伝統的に強いセットプレーでゴール。また、高橋健二監督に代わって指揮を執っている金子文三コーチはまだまだというものの、梶谷とDF庄司碧月(3年)の両CBや188cmGK大渕咲人(3年)が個の力を発揮するなど、矢板中央らしい堅守も表現した。

 金子コーチは、今年の矢板中央について、「何よりも選手が良いですよ。心が。今年の子たちは」と称賛する。コーチ陣のサポートを受けながら、自分たちで甘さを取り除いてトレーニング。「やりこめば絶対に成長すると思っている」と期待を寄せる。

 井上はシーズン開幕前の脳震盪によって2週間以上離脱。4月に入ってから復帰し、この日が今季のプリンスリーグ初出場、初先発だった。「特にきょうの試合は自分が良いプレーしようとかいうのはあんまなくて、メンタルのところの土台をつくってそれで結果がついてくれば良いかなと」というMFは、気持ちの部分を表現。離脱中もピッチ外から大声でサポートしていた主将は劣勢の展開でもチームの活力を維持し、勝ち点1獲得に繋げた。

 一方で自身のプレー面には満足していなかった。小森とともにボランチの位置で奮闘。奪い返しなどで貢献していたが、「攻撃だと推進力、守備だったらデュエルの部分を重視しています。(今日は)守備もそうなんですけれども、攻撃的な推進力や厚みをもうちょっと増やしたいと思っていた。その回数が少なかった」と悔しがる。

 プレー面、メンタル面の両方でチームを引っ張る。一昨年のGK藤井陽登主将(現明治大)、昨年のMF田邉海斗主将(現順天堂大)とプレー面でもチームを勝たせていた2人に続く主将就任。先輩たちから吸収したものを表現し、よりチームをまとめていく考えだ。

 今年は力がないと言われているというが、「活気の部分やチームが一つになる部分は去年、一昨年と比べて、多分、できているんじゃないかと。ただし、個人の波やモチベーションの上がり下がりの安定感はまだまだないので。安定感もあって、活気もあるとなったら、過去にないくらいの成果になるんじゃないかなと」。自信を持つ活気やモチベーションについても、現状に満足せずにより求める考え。そして、「個人の成長を重視したい」と加えた。個の力を強くして、強いチームへ。そして、「選手権、インターハイで日本一取る」という目標にチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)
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