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左利きの187cmCB小山紘輝主将や指揮官も感謝。埼玉4強で唯一の公立校・浦和東は全校応援に後押しされて健闘

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公立の浦和東高は全校応援の後押しを受け、雨中で好勝負を演じた

[4.26 関東高校大会埼玉県予選準決勝 武南高 3-0 浦和東高 駒場]

「全校応援は本当に力になりました。最後の苦しい時間帯でも応援の方見て元気もらったりとか、感謝しか無いですね」

 浦和東高のCB小山紘輝(3年)主将は雨の中、試合を通して後押ししてくれた同級生たちに感謝した。この日は、バス13台で駆けつけた生徒約950人がスタンドで大応援。対戦した武南高スタンドからの声をかき消すほどの迫力だった。

 公立校の強豪・浦和東は22日の準々決勝で勝利し、4強入り。平尾信之監督によると、週明け月曜日の24日朝に調整が始まり、同日の夕方には全校応援が決定したという。そして26日に非常に一体感のある全校応援。チームは前半に1点を失わったが、強敵相手に食らいつき、後半はパワー、スピードのある攻撃で武南ゴールへ迫った。

 浦和東OBでもある指揮官は、「土曜日に勝って水曜日に全校応援できる公立学校って(ほとんど)ないと思うので。学校が一つになるところとか、サッカー部も成長しなければいけないですし、他のサッカー部以外の子どもたちも成長できたかなと」。公立校で唯一県4強入りした浦和東は、感謝の思いを持ってここからさらに成長する。

 試合終盤の連続失点によってスコアは0-3となったが、浦和東は左利きの187cmCB小山やGK中村真也(3年)が中心となって堅守。特に小山はゴール前へ入って来るボールを頭や左足で次々と弾き返し、対人守備でも強さを見せていた。また、味方FWの怪我のため、自陣からのゴールキックの際は前線に上がって競り、すぐにまた最終ラインへ。ロングスローも多投するなど、多くの役割を遂行しながらチームを引っ張っていた。

 平尾監督も「サイズもあるし、左利きでビルドアップしろと言ったらできる。安食(龍成、現立正大)とかマツケン(松本ケンチザンガ、現駒澤大)のように上のレベルでやれると思います」と期待する存在。これまでCB、SB、ボランチ、トップ下と色々なポジションを経験した大器は現在、CBで活躍することを目指している。

「CBをやりたい。存在感があって、頼りがいがあって、『コイツなら後ろも任せられる』という存在になりたい」と小山。本人は存在感のあったこの日のプレーにも全く満足していなかった。

「もっとできたかなと思います。納得はしていないですね。もっとチームを盛り上げるというところと、1対1で負けないで、最後魂を見せるプレーがしたかった」。1対1で苦戦し、ゴール前で体を投げ出してでも止めることができなかったことを悔しがる。そして誓った成長。課題を改善し、同タイプのCBエメリク・ラポルト(マンチェスター・シティ)のようなDFに「なって見せます」と言い切った。

 この日浦和東は前半からボールを保持されて守備の時間が増えていた。だが、勝負を掛けた後半に鋭い動きを見せたレフティーの2年生アタッカー、MF田中涼賀や中盤・最終ラインで体を張ったMF小林咲也(3年)、CB増田愛翔(3年)らも健闘。平尾監督は色々な状況に対応できるようになった選手たちの成長を認めた上で、「土の(グラウンドの)県立高校として、普段の練習で質や強度を上げなければいけない」。これから走力など課題を改善。インターハイ予選、選手権予選で再び躍進し、今度は大応援の中で勝つ。

CB小山紘輝(3年)主将は長身を活かした守備などで存在感
 
(取材・文 吉田太郎)

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