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アジアでは攻守両面で躍動。MF佐藤龍之介はFC東京U-18復帰戦で違い示すも、「実力不足かなと思います」

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U-17日本代表MF佐藤龍之介(2年=FC東京U-15むさし出身)は存在感ある動きを見せたが、「結果を持って来れないのは実力不足かなと思います」

[7.8 高円宮杯プレミアリーグEAST第11節 川崎F U-18 1-0 FC東京U-18 保土ケ谷]

 試合終了の笛が鳴ると、白いユニフォームの選手たちがピッチに崩れ落ちた。FC東京U-18は後半45+4分、CKからオウンゴールによる失点。0-1で敗れ、2勝4分5敗という成績でプレミアリーグEAST前半戦を折り返すことになった。

 MF佐藤龍之介(2年=FC東京U-15むさし出身)はU-17日本代表をアジア制覇、U-17ワールドカップ出場権獲得へ導いたU17アジアカップ(タイ)から帰国し、最初の公式戦。前半から違いを示すようなプレーを続けていたが、敗戦直後はピッチ上で仰向けになったまま、両手で顔を覆っていた。

「相手が最後押し込んできた中で最後耐えたかったんですけれども、ラストプレーくらいで失点してしまって、まだ足りないというのが率直な感想です」。結果がなかなか出ていない中、それでも前を向くなど、チームメートたちの意識が変わってきていることを認める。

 ただし、「意識変わっただけじゃ勝てないのがこのプレミアのレベル」ときっぱり。試合後のミーティングで奥原崇監督から「最後のあの差が何なのか」と指摘される中、佐藤はラストの質など「足りない」と感じた細部からよりこだわることを誓っていた。

 佐藤はアジアの舞台で躍動。U-17ワールドカップ出場をかけたオーストラリアとの準々決勝でスルーパスからアシストすると、イランとの準決勝では技ありの直接FKを決めた。そして、日韓戦となった決勝でも好パスで2点を演出。日本の10番はボールを失わない力、ゲームメークする力など攻撃面で輝くだけでなく、切り替え速く、強度の高い動きなどディフェンス面でも中心選手のプレーを見せた。

 今年はじめ、FC東京のトップチームのキャンプを経験し、「トップに追いつかないといけない」と基準を変えて強化。U17アジアカップは、自分よりも大柄な外国人選手との競り合いで幾度も上回って見せるなど「やっと大きい成果が出たと感じていて。アジアでボール取れる回数も、守備で潰せる回数も増えたのでそこは成果として前向きに捉えていきたいと思います」と頷く内容だった。

 その佐藤がU17アジアカップのベストプレーに挙げたのが、オーストラリア戦のアシストシーン。「自分の中では特別なパスではなくて、普通に見えた選手に速い、前足にという意識をしていたんですけれども、それが評価してもらえました。自分の中では普通にしているプレーにしていきたい」。自分の当たり前の基準をより高め、常に周囲との違いを生み出していく。

 トップチームやU-17ワールドカップでの活躍も期待される佐藤だが、「まずこのプレミアを勝たせたいとはずっと思っている。今、この順位(12チーム中10位)は本当に納得していないですし、勝たせないといけないと思っているので、ワールドカップはもちろんなんですけれども、まずこのプレミアを勝たせて、その先の舞台でもっと活躍していかないといけない」。この川崎F U-18戦も違いを存分に示してチームを勝たせるつもりだった。

 この日の前半はMF鈴木楓(1年)、MF古賀竣(1年)の1年生ボランチコンビに「自分を見ておいて」と伝え、前線で積極的にボールに係わった。相手の鋭いアプローチをいなし、2、3人を振り切るシーンも。狭い局面でもボールを失わずにゴールへ向かい、後半はポジションをボランチに下げて守備の強度、バランスを高めていた。

 だが、チームは惜敗。「代表から帰ってきて、違いを見せたかったのはあるので、そこで結果を持って来れないのは実力不足かなと思います」。そして、「どっちかというと全員が支えあって、まとまりのあるチームだと思う」という今年のFC東京U-18の良さに加え、自分自身やチームメートたちの個の成長を求めた。

「まとまりも大事なんですけれども、(先輩のFW熊田直紀やMF俵積田晃太のように)もっと個が突出して抜きん出ていくようなチームになっていければ、強いチームになると思います」。チームが勝つために、自分自身もより細部から徹底し、成長することが必要。主軸に怪我人が出ていることも確かだが、ともにアジアを戦ったCB永野修都(2年)やGK後藤亘(2年)、この日PKセーブを含むファインセーブを連発したU-19日本代表GK小林将天主将(3年)らとともにチーム力を底上げし、プレミアリーグ後半戦で必ず巻き返す。

(取材・文 吉田太郎)
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