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2年生FW井上愛簾が2発、エースFW中川育も鮮烈弾。夏に上手さと強さ磨く広島ユースがU-17ウズベキスタン代表を撃破

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サンフレッチェ広島ユースの2年生FW井上愛簾は2得点の活躍

[8.10 Balcom BMW CUP第2節 広島ユース 3-1 U-17ウズベキスタン代表 広島広域公園第一球技場]

 プレミア日本一へ、「鍛える」夏の成果を発揮している。サンフレッチェ広島ユースは10日、「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」第2節でU-17ウズベキスタン代表と対戦。FW井上愛簾(2年)の2得点とU-18日本代表FW中川育(3年)の決勝点によって3-1で勝利した。

 2日前のU-17日本代表戦は前半に中川、井上がゴールを決めたほか、ボールを支配し続けるなど圧倒的な内容。だが、後半16分の4枚替えからリズムを崩してしまい、終盤にギアを上げてきた相手に4得点を奪われて逆転負けした。

 この日はU-17日本代表MF中島洋太朗(2年)が欠場したものの、日本戦とは異なる形のビルドアップにチャレンジ。広島ユースは長く神戸U-18を率いていた野田知監督が今年から指揮を執る。その新指揮官の下で磨かれたボールを大事に動かす力と、伝統的な前への強さの両面見せてアジア3位のU-17ウズベキスタン代表を撃破した。

 先制点は前半13分。U-18日本代表CB中光叶多(3年)が左ハイサイドへのロングパスで局面を変える。ボールを受けた中川は、カットインから斜めのスルーパスを通す。最後は井上が右足シュートを決めた。広島ユースはアンカーのMF竹山心(3年)がDFラインへ落ちてビルドアップ。時にボールを下げて攻め直しながら、ゴールを目指す。

 強度の高い相手の前になかなかチャンスの数を増やせず、逆に相手のスピードと技術力に押し返されるシーンも見られた。だが、1-0で前半を折り返すと、後半には「広島らしい」前からのプレッシングを2得点に結びつける。

 10分、MF石橋聖也(3年)が奪い返しから左へ展開。中川が得意の形から中へ切れ込むと、最後は右足シュートを左上へ突き刺した。さらに13分、相手コートでウズベキスタンのビルドアップを封鎖。中川のインターセプトから石橋がDF背後へスルーパスを狙う。再び抜け出したのは井上。野田監督が「最近良いですよ。馬力がある。守備も上手くできるようになった。元々前にグイッと行く力のある子で、だいぶパワーアップしてきた。後半戦楽しみですね」と評するFWは、GKをかわしてこの日2点目のゴールを奪った。

 井上は「(見て欲しいのは) 背後の動き出しです。(将来)Jリーグで得点王になって、A代表に選ばれて、ワールドカップで優勝することです」というフィニッシャー。日頃の練習から課題の守備に取り組み、U-17日本代表戦は自らのインターセプトから、この日も連動した守備からゴールを決め、「守備は個人としてもチームとしても良くなっている」と喜んだ。

 この日、広島ユースは201cmのU-17日本代表候補MF木吹翔太(2年)をCBとして起用。野田監督は「ボールに触れて、パスもできるので。まだやり慣れていない部分がありますけれども、やり込んでいけば行けるんじゃないかなと思っています」と期待する木吹は自信を持ってビルドアップに係わっていたほか、失っても200cmの身体を活かした守備でボールを奪い返していた。

 ウズベキスタン相手にも強さを発揮。チームはDFアブドゥルボリエフ・シェルゾドゥベに直接FKを決められたものの、ゲームをコントロールしながら3-1で勝利。プレミアリーグ後半戦へ向けて自信となる白星を挙げた。

 野田監督は就任直後に比べ、「(止める・蹴るを)ずっと繰り返し、繰り返ししてきたのでだいぶ上手くなってきましたね」と選手たちの成長を実感。今夏は鍛錬の期間に充てており、今大会の開幕2日前まで2部練習を行ってきたという。「鍛えるという感じですね、8月は。(プレミアリーグ)後半戦に向けての8月なので。選手にもはっきりとそのことを言っている。勝点を積み上げて行って、最終的に一番になっていれば良い」と指揮官。選手たちの目標は現在3位のプレミアリーグWEST優勝と、ファイナルでの勝利だ。

 エースの中川は「(リーグ優勝を)狙える位置にはいると思う。一戦一戦落としたらいけないと思うので自分が点を決めて、チームを勝たせられるようにしていきたい」と誓い、2年生の井上は「先輩たちは凄く優しくて寮生活からも凄く尊敬しているので、先輩たちのカップを上げている姿を見たいので、残りのプレミアリーグで優勝して良い光景を見たいです」と意気込んだ。上手さと強さが鍛錬の夏に、より融合中。代表撃破の広島ユースが、プレミアリーグの主役となる。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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