beacon

無名の存在がU-17日本代表からPK奪取。広島県高校選抜の快足FW山本晃聖(広島新庄高)は貴重な経験を飛躍のきっかけに

このエントリーをはてなブックマークに追加

広島県高校選抜U-18のFW山本晃聖(広島新庄高3年)はU-17日本代表からPKを獲得。まだまだ回数は少ないものの、無名のFWが特長を発揮している

[8.10 Balcom BMW CUP第2節 広島県高校選抜U-18 2-4 U-17日本代表 広島広域公園第一球技場]

 無名の俊足FWが、「運良く」掴んだチャンスで躍動している。広島県高校選抜U-18のFW山本晃聖(広島新庄高3年)は、「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」のU-17日本代表戦で後半開始から出場。後半18分にスルーパスで相手DFの前に潜り込み、PKを獲得した。

 これをFW美藤慶音(瀬戸内高3年)が決めて1点差。山本は、28分にも左サイドからのドリブルで縦へ抜け出し、FW新井悠河(瀬戸内高3年)へ決定的なクロスを通している。

 回数を十分に増やすことはできず、無得点。だが、そのスピードで年代別日本代表を苦しめた。山本は2日前のU-17ウズベキスタン代表戦でも途中出場し、ハイサイドへの抜け出しからクロスを2度上げ切っている。

 そのウズベキスタン戦では、相手に引っ張られながらも前へ出て見せるなど馬力のある動きも。今大会、広島県高校選抜はFW新井悠河(瀬戸内高3年)やFW岡本敬大(広島皆実高3年)ら各選手が格上相手に力を発揮しているが、中でも全国大会やプリンスリーグでのプレー経験のない山本の活躍はスタッフをも驚かせている。

 地元の中体連出身で、これまでは「区のトレセンくらい」。指導者同士の繋がりによって広島新庄高から唯一誘いを受けたというFWだ。だが、インターハイ予選準々決勝の瀬戸内高戦(0-4)で存在感のある動きを見せるなど「運が良かったです」という広島県選抜入り。自分の武器が代表、世界相手にも通用することを確認した。

「1対1は得意なので(代表相手でも)そこでは勝てるかなと思っていました。そこまであまり変わりはなかったと思いました」

 まだまだ細身。普段競り負ける機会は少ないようだが、格上との戦いでフィジカル面を強化する必要性を痛感した。またゴールを決めることもできていない。残り1試合。「まだ点というところが取れていないので、得点を取ってチームを勝たせる選手になりたい。滅多に外国の選手や日本代表の選手とやることはないので、1試合1試合大切にして、終わっても新庄のみんなに伝えられるような活動にしたいと思います。(残り1試合も)自分のできることを全力でやるだけです」。憧れは同じスピード系のアタッカーであり、無名だった高校時代からワールドカップ戦士へ駆け上がったMF伊東純也(スタッド・ランス)。「負けたくない」という野心の持ち主が「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」の経験を飛躍に結びつける。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP