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[プリンスリーグ関東1部]鹿島ユースが圧巻の9-0。プレミア復帰へ首位快走

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後半2分、鹿島アントラーズユースのU-17日本代表FW徳田誉がゴール。徳田は後半だけでハットトリックを達成

[10.1 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第14節 桐生一高 0-9 鹿島ユース 太田市運動公園陸上競技場]

 首位・鹿島ユースが“最高のゲーム”で大勝――。1日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関東1部第14節2日目が行われ、鹿島アントラーズユース(茨城)が桐生一高(群馬)に9-0で勝利。戦績を11勝1分2敗とし、2位との勝点差を5へ開いた。

 19年以来のプレミアリーグ復帰を狙う鹿島ユースが、首位の実力を見せつけた。桐生一がCBまで圧力をかけてこなかったことから、U-17日本代表CB松本遥翔(2年)とU-16日本代表CB大川佑梧(1年)がボールに触れる回数を増加。彼らやこの日、攻守に圧倒的な力を示したMF小倉幸成主将(3年)がサイドチェンジを交えて相手を揺さぶる。

 そして、右SH壱岐健斗(3年)と左SH小笠原聖真(2年)の両翼に加え、右SB池田健将(3年)とU-17日本代表左SB佐藤海宏(2年)が高い位置からドリブルで仕掛け、クロスを入れた。前半10分には、池田の右クロスがファーのFW大山幸路(3年)へ通り、決定的な左足シュート。29分には小倉の1タッチでの展開から佐藤が左サイドを突破し、クロスを上げ切った。

 一方の桐生一は4分、MF小野剛史(3年)のスルーパスから左SB深澤拓夢(3年)が左足シュート。注目CB中野力瑠(3年)のフィードが警戒される中、幾度か相手のプレッシャーを剥がし、小野やMF乾真人(3年)がボールに係わって前進して見せる。

 また、中野を中心にゴール前で相手の攻撃を良く食い止めていた。中村裕幸監督も「(大山の決定打の)1本以外は対処できていたかなと思っていたんですけれども…」と振り返る。守備の形を変えながら相手のミスも誘発して0-0を維持。だが、鹿島ユースは38分、CB松本がドリブルで深く侵入すると、大山がゴール前で粘り強さを見せる。最後は得点ランキング首位タイのFW馬目隼乃介(3年)が相手のタックルを落ち着いてかわし、右足シュートを決めた。

 さらに40分には、馬目とのコンビから大山がシュート。このこぼれを馬目が押し込み、2-0と突き放す。桐生一も直後にMF佐藤柊(3年)がDFと入れ替わる形でゴールへ迫り、そこから連続でフィニッシュまで持ち込む。連続失点してしまったものの、巻き返しの可能性も示して前半を終えた。

 だが、鹿島ユースは後半2分、左サイドでボールを繋ぐと、小倉の縦パスから投入されたばかりのU-17日本代表FW徳田誉(2年)が右足で強シュートを叩き込む。鹿島ユースはその後も停滞することなく、高い位置からボールを奪いに行き、DF陣含めて全員が攻撃に係りながら4点目を目指す。

 そして19分、MF平山京吾(3年)が相手ボランチにまでプレッシャーを掛けて奪い返すと、小倉がダイレクトのスルーパス。これで徳田が抜け出し、左足シュートを突き刺した。その1分後にも、馬目のラストパスからドリブルでDFをかわした壱岐がシュート。こぼれ球を自ら押し込み、5-0とした。

 桐生一が後半の失点で失速してしまったのに対し、鹿島ユースは止まらない。馬目は「相手が落ちた中で自分たちが続けられたのはトレーニングの成果かなと思っています」。各選手が個々の特長と献身性、連動性を表現する。ゴールへ向かい続ける鹿島ユースは30分、徳田のヘディングシュートが相手DFのハンドを誘い、PKを獲得。これを小倉が右足で決めると、35分には右サイドから攻め上がった松本のクロスを小倉が右足ダイレクトでゴールへ突き刺す。

 そして、38分、ロングフィードのこぼれ球を拾った徳田が左足で決め、「やってやったぞ!!」の声。ハットトリックを達成した徳田に小倉も続く。42分、相手GKの位置を見極め、自陣から約60mの右足ロング弾で自身3点目。交代出場選手たちも勢いある動きを見せた鹿島ユースに対し、桐生一は左SB深澤の攻め上がりや交代出場FW原島謙伍(1年)のシュートで一矢報いようとする。だが、GK岸野瑛太(2年)や守備面でも利いていた松本、大川の守る鹿島ゴールを破れないまま、試合終了を迎えた。

 鹿島ユースの小倉は「(柳沢敦監督から)内容としても、相手をリスペクトすることを怠らず、『最高の試合だった』と言われました」。そして、「本当にこのチームは自分、行けると思うので。今年のチームは練習の雰囲気も良いし、取り組みも素晴らしいし、誰も本当に手を抜いているやつがいないというか、自分的にもこのチームは凄く良いなと思う。あと4試合あるので気を抜かずに、次の(2位・東京)ヴェルディがヤマになると思うので、そういうところを勝っていけたら本当にプレミアが見えてくるんじゃないかと思います」と力を込めた。

 馬目も「来年、自分たちはできないですけれども、後輩を良い舞台を上げられるようにと思っています」ときっぱり。次節の東京Vユース戦から始まるプリンスリーグ関東1部の残り4試合と、プレミアリーグプレーオフ2試合を勝ち抜き、“鹿島ユースが本来いるべき場所”プレミアリーグへ復帰する。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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