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[プリンスリーグ関東1部]桐生一は踏ん張りきれずに完敗。注目CB中野力瑠主将は兄からも学んで今後の戦いへ

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桐生一高はまさかの大敗。注目CB中野力瑠主将(3年=AZ'86東京青梅出身)は今後の大事な戦いを勝ち抜くことを誓った

[10.1 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第14節 桐生一高 0-9 鹿島ユース 太田市運動公園陸上競技場]

 プリンスリーグ関東1部6位の桐生一高(群馬)は、首位・鹿島ユースに飲み込まれてしまい、後半だけで7失点。まさかの大敗となった。

 中村裕幸監督は「きょうのアントラーズにどれだけ抗えるかっていうのは凄く大事だと思うんですよ」という。前半はボールをある程度握られることも想定しながらの守り。ミスを誘発し、数は少なかったものの、奪ったボールを素早く正確に繋いで攻め返していた。

 個々の力のある相手に粘り強く対抗できていた印象だが、前半38分に失点。ゴール前で相手の攻撃を食い止め、さらにカバーに行きながらも相手の上手さに上回られての失点だった。すぐに切り替えたいところで、連続失点。さらに後半2分の失点で“ダメだ”“勝てない”という空気感に覆われてしまった。

 主将の注目CB中野力瑠(3年=AZ'86東京青梅出身)は、「後半先に取れば流れも変わるし、自分たちも全然できるという話をしていたので、自分たちもそれを意識しながらやっていたんですけれども、先に折れてしまった。もったいなかった」と首を振る。

 0-3でもボールを丁寧に繋いで敵陣に入ることはできていた。1点奪い返せば、流れを引き寄せられたかもしれない。だが、中村監督が「我慢がきかないのだと思います」と指摘したように、踏ん張りどころで踏ん張ることができなかった。

 後半19分、20分に連続失点。中野は「圧倒されちゃって、『とにかく防がないと』と目を置いたら、攻撃にパワーがいかなくなってしまった」。防戦一方となる中、何とか抗おうとしていたが、その後4点を奪われ、0-9の大敗となった。

 中村監督は「全てが上手くいかなかったからこのスコアだと思うけれど、(そのスコアに)行かされたというよりも勝手に行ってしまった」と厳しい。中野や10番MF小野剛史(3年)を中心に、乗れば強さを発揮するが、失点すると「そのまま引きずってしまって連続失点してしまうことが自分たちの課題で。今日もみんな意識していたと思うんですけれども、改善できなかったかなと思います」(中野)。この敗戦からまた学び、巻き返して行くしか無い。

 注目の中野は警戒される中で得意の高精度キックを十分に表現することができなかった。その中でCB円谷有吾(3年)らとともに体を張って守っていたが、広島で先発定着中の兄・DF中野就斗が約1年ぶりに見守る中で悔しい敗戦。「自分的には楽しみにしていたんですけれども、良いところを見せられなかった」と唇を噛んだ。

 その中野は、「自分のお兄ちゃんも桐一でキャプテンをやっていたので、チームを引っ張るプレーや振る舞い、姿勢についてはまだ自分は甘いので、そこに関しては聞いたりしたりしたいです」。自分にとって常に“競争相手”だという兄から学び、今後の結果に結びつける。

 次節は勝点で並ぶ三菱養和SCユース戦。その後は選手権予選が始まる。「次、切り替えるしかないので、アウェーの養和戦に向けて、また負けたら下に引きずり込まれますし、また大事な試合なので、そこで勝って、選手権のシーズンに入るのでそこで全国に行けるようにしたい」。内容の良い試合だけでなく、流れが悪い試合でも踏ん張り、勝ち切る強さを身に着けること。そして、プリンスリーグ関東1部残留、選手権予選優勝を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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