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[MOM4459]磐田U-18山本将太(2年)_首位相手に1ゴール1アシスト!2年生ストライカーから飛び出した「来年のエース宣言」

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1ゴール1アシストの活躍を披露したジュビロ磐田U-18FW山本将太(2年=ジュビロ磐田U-15出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.15 高円宮杯プレミアリーグWEST第18節 磐田U-18 2-1 広島ユース 竜洋スポーツ公園サッカー場]

 6試合ぶりに巡ってきたスタメンのチャンス。気合は十分すぎるほどみなぎっていた。フォワードでも、右サイドハーフでも、結果を出す上で大きな違いはない。目指すのはいつだってゴール一択だ。

「今まで自分が点を獲って勝った試合がなくて、全部負けていたので、ようやく来ました。もう最高ですね。今のジュビロ、乗ってます(笑)」。

 アグレッシブに戦えるジュビロ磐田U-18(静岡)のナンバー14。FW山本将太(2年=ジュビロ磐田U-15出身)の2ゴールに絡む躍動が、チームに今シーズン初の3連勝をもたらした。

 最近はベンチスタートが続いていた。最後にスタメン起用されたのは、後半戦の初戦となった9月3日の米子北高戦。チームの好調の波に乗りたいと思っていた中で、約1か月ぶりとなる先発に指名され、ホームゲームのピッチに解き放たれる。

 ポジションは右サイドハーフ。「守備のところは右サイドは最初は難しかったですけど、ちゃんとプレスバックもできるようになりましたし、攻撃の時は自分は裏抜けが好きなので、そこはフォワードもサイドも自分のやりたいように裏へ抜けたりできていて、自分的には使い分けもできるぐらいにはなったのかなと思います」。攻守のタスクもしっかり整理されていた。

 前半26分。右サイドでボールを持った山本は、いったんサイドバックのDF小澤有悟(1年)に預けて、そのまま前へと駆け上がる。「相手のサイドバックが食い付いていたので、『もう裏に行けるな』と。スピードには自信がありますし、そこは有悟もわかってくれていましたね」。小澤のリターンパスから抜け出すと、余裕を持って中央を窺う。

「フリーだったので1回中へ持ち込んで、(舩橋)京汰くんと(バルア)ロイくんがマイナスに動いてくれて、あそこは練習でもマイナスの入り方はやっていたので、イメージが共有できていたなと思います」。丁寧な折り返しをFWバルア・ロイ(3年)がスルーで流し、その後ろにいたFW舩橋京汰(3年)がボールをゴールへ流し込む。まずは1アシスト。

 30分。山本はハーフウェーラインを少し越えた位置からドリブルを開始する。激しく寄せたマーカーをタッチライン際で力強くかわすと、もうその視界の先には“花道”が広がっていた。

「相手が来ていなかったので、『もうシュートしかないな』と。あそこはもう流れが見えていましたね。シュート練習も調子が良かったので、シュートを打つ前に『絶対入ったな』と思いました」。ドリブルの勢いそのままに打ち切ったシュートは、鮮やかにゴールネットを揺らす。「あの角度のシュートは今週ずっと練習していましたし、なるべく抑えて打てたので良かったです」。山本の6試合ぶりとなる得点で、磐田U-18は2点のリードを奪う。



 後半21分まで走り切り、交代後はベンチからピッチを見つめていたが、チームの勝利は疑っていなかった。「後期に入って負ける試合が少なくなってきて、最後の戦い方もクリアでタッチに切るだけじゃなくて、フリーな人を探して、繋いで、という戦い方を共有できていることが勝ちに繋がっていると思うので、そこはみんな良い手応えを持っていると思います」。

 ファイナルスコアは2-1。本人が明かしていたように、ここまで山本が得点を記録した3試合はすべて黒星を喫していたものの、ようやく自身の結果が勝利に繋がる。圧巻の1ゴール1アシストを叩き出した14番が、この日の主役を張ったことに異論を挟む余地はないだろう。

 本職がフォワードだという矜持は持っているが、最近は与えられたポジションを楽しむ余裕も生まれているという。「自分的にはフォワードがいいですけど、『右サイドでも自分で点を獲って勝てるんだ』という自信も今日は掴んだので、今は右サイドも楽しくやれています」。

 ただ、やはり意識しているのはここ2年のチームを最前線で牽引してきた、頼もしいストライカーたちの存在だ。「ジュビロは(伊藤)猛志くん、(後藤)啓介くん、京汰くんって、フォワードの先輩がみんな得点ランクも上位に入っていて、僕も今年は『たくさん点を獲ってやろう』と思っていたんですけど、そこまで決められなくて……。でも、来年は絶対に自分がエースになって、自分がゴールを決めてチームを勝たせたいので、今から意識を変えながら、自分のエゴも出して、もっと点を獲っていきたいなと思います」。

 飛び出した『来年のエース宣言』。その未来を現実のものにするためには、残された今シーズンのリーグ戦で明らかな違いを見せ、来シーズンの戦うステージをしっかりと確保することが何よりも大事になることは言うまでもない。ここからの目標を、山本はきっぱりと口にした。

「もう勝ちしか見えないです。『もう負けはない』という気持ちで、全勝する気持ちでやっていきたいですね。プレミアはあと4試合ですよね。じゃあ、あと6点は獲りたいです!」。

 間違いなくメンタリティはストライカーのそれ。ようやく自身の結果とチームの結果をリンクさせた山本のさらなる活躍が、蘇ったサックスブルーのさらなる進撃には必要不可欠だ。



(取材・文 土屋雅史) 
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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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