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自然体と自分のできる精一杯で勝利に貢献。青森山田10番MF芝田玲は再挑戦で優勝と「ずっと目指してきた」埼スタ切符も獲得

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青森山田高の10番MF芝田玲(3年=青森山田中出身、左)が相手の突破を阻止する

[12.3 高円宮杯プレミアリーグEAST第22節 FC東京U-18 0-2 青森山田高 東京ガス武蔵野苑多目的G]

 同じく勝てば優勝だった前節は、“特別な場所”で悔しいドロー。自分を見つめ直し、青森山田高のプレミアリーグEAST制覇に再チャレンジした。その10番MF芝田玲(3年=青森山田中出身)が、攻守両面で活躍。プレミアリーグEAST優勝と、憧れの埼玉スタジアム2002でのファイナル切符を勝ち取った。

 芝田はかつて、昌平高(埼玉)の育成組織であるFC LAVIDAに在籍。中学卒業前に青森山田中への転校を決断し、同中高でプレー面、精神面の強さなどを磨いてきた。11月26日のプレミアリーグEAST前節は、昌平高グラウンドでの昌平戦。自身を形成する原点の一つで優勝を目指した。

 だが、2-2で引き分け。優勝は最終節・FC東京U-18戦へ持ち越しとなった。チームメートも芝田のために懸命に戦ってくれたが、悔しい結果に。それでも、青森山田の大黒柱は経験を最終節での優勝に結びつけた。

「自分、本当に先週決めたかったですけれども、決めたいからこその硬さも自分にもありました。松本(晃)コーチからも『こういう時こそ自然体になってみれば』と言われたので、自分の気を張る部分と自然体の部分を分けれたので、チームへの声がけも、強すぎず、張りすぎず、やって来れたかなと思います」

 FC東京U-18戦への準備は雪上でのトレーニングに。その影響もあってか、ボールコントロールが生命線の芝田もこの日は思うようにボールが足につかなかったという。だが、芝田は自分にできることを精一杯表現する。「後悔しないように自分のできることを精一杯やろうと。守備の部分は雪の中でもやれていたので、まずは身体を動かして、そこを中盤で体現することでチーム全体に勇気を与えられたと思います」。味方が苦戦していたFC東京U-18のエースMF{佐藤龍之介|佐藤龍之介(53291)}}(2年)やMF吉田綺星(3年)のドリブルを止め切って見せるなど、強度の高い守備でチームに勇気をもたらしていた。

 そして、1-0の前半42分にはショートコーナーからの右足クロスで右SB小林拓斗(3年)のゴールをアシスト。後半にはポスト直撃の直接FKを放つシーンもあった。ただし、自分自身に厳しい10番は、「全然きょうの自分のプレーには満足いっていないので、どんな状況でやってももう少し攻撃面でも違いを作れたらなと思います」。よりプレーの質を上げることを掲げていた。

 12月10日に開催されるプレミアリーグファイナルの会場は、埼玉スタジアム2002だ。栃木県出身で埼玉県のFC LAVIDAで活動、また昨年から青森山田の主軸を担う芝田にとって、「ずっと目指してきた場所」でのプレーとなる。

 昌平の旧友たちは選手権埼玉県予選決勝でプレー。「自分が『やりたいんだよね』と言っても『(彼らの感覚として)埼スタは普通だよ』と。でも、青森でずっと長くやってきた自分からすると、やっぱり埼スタ」と芝田は言う。

 そして、「それこそ、(18年度大会で優勝した)檀崎(竜孔、現ウエスタン・ユナイテッドFC)さんたちの選手権決勝も見ましたし、(19年度の)武田英寿さんたちのファイナルも現地ではないですけれども良く見ますし、本当にあの憧れの舞台でできるという味を感じながら、90分間山田らしくファイトしていきたい」。ファイナルでも芝田のメンタル面での強さや攻守におけるハードワーク、質の部分は重要だ。同時にこの日の試合やそれまでの準備のように、自然体の部分も表現すること。個で、チームで現状の力を発揮し、埼玉スタジアム2002で「U-18年代真の日本一」を喜ぶ。

相手の10番・佐藤をストップ

ポスト直撃の右足FKも

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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