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6度目のプレーオフ挑戦で初勝利。岡山学芸館撃破の帝京長岡が悲願のプレミア昇格と全カテゴリー昇格へあと1勝

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後半2分、帝京長岡高MF原壮志)(左)が先制ゴール

[12.8 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 帝京長岡高 2-1 岡山学芸館高 東広島運動公園陸上競技場]
 
 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024参入を懸けたプレーオフが8日に開幕し、1回戦が行われた。Dブロックの帝京長岡高(北信越1、新潟)と岡山学芸館高(中国2、岡山)との一戦は、2-1で帝京長岡が勝利。浦和レッズユース(関東2、埼玉)との2回戦(10日)へ進出した。

 プレーオフ出場は今回が6度目。2回戦から出場した21、22年度を含め、過去5回はいずれも初戦敗退だった。その帝京長岡が、ついにプレーオフ初勝利だ。選手たちはまずホッとした表情を浮かべると、すぐに切り替えて次への準備を開始。古沢徹監督は「まず明後日勝たないと、この勝ちの意味がなくなっちゃうので、 選手も含めてですけども、あと1日いい準備をして戦えないといけないなと思います」と引き締めていた。

 攻撃的な両チームの戦いだが、前半はロングボールの増える堅いゲームになった。帝京長岡は7分、MF橋本燦(3年)が右サイドを抜け出し、MF山村朔冬(3年)がシュートチャンスを迎えたが枠右へ。また、エースFW堀颯汰主将(3年)が前線で強さを発揮し、山村が視野の広さと技術力を見せる。だが、PAまで押し込むものの、そこからなかなか差し込むことができなかった。

 一方の岡山学芸館は前半、高原良明監督も評価する内容。前からのプレッシングで帝京長岡のビルドアップを低下させ、奪ったボールを前線で健闘するFW太田修次郎(2年)が収めてサイド攻撃へと結びつける。そして、ともにボランチの位置から飛び出す力のあるU-17日本高校選抜候補MF田口裕真主将(3年)とU-17日本高校選抜候補MF田邉望(3年)やMF木下瑠己(3年)が崩しに係わり、PA脇のポケットなどを狙った崩し。27分には敵陣でインターセプトした木下が右足シュートを狙い、38分にもパス交換から木下がDFライン背後を突いた。
 
 ただし、帝京長岡は幅広いカバーリングやドリブルでプレスを剥がす動きも光ったCB高萩優太(3年)やGK小林脩晃(2年)を中心にゴール前の守りが安定。高原監督も「前半点が取れていればもう少し良い形になったと思うんですけれども……」と残念がったように、岡山学芸館は先制することができなかった。

 迎えた後半2分、帝京長岡がリードを奪う。右サイドのMF原壮志(3年)が縦を警戒する相手の逆を突く狙いを持って中へドリブル。そのまま左足を振り抜くと、ボールはGKの手を弾いてゴール右隅へ吸い込まれた。

 非常に拮抗した展開からスコアを動かす一撃。また帝京長岡は後半、左の山村がビルドアップに多く係わることで攻撃のリズムが向上した。岡山学芸館は9分の選手交代に伴い、田口を右SHへ移行するなど攻撃姿勢を強める。だが、帝京長岡は12分、左サイドからボールを繋ぐと、堀がタメを作り、勢いを持って上がってきたMF橋本燦(3年)の前方へパス。スピードに乗ったままライン突破した橋本が、そのまま左中間から左足シュートを決めた。

 帝京長岡は相手の前線や中盤のラインを突破すればスペースができることを選手たちが自分たちで共有し、実行。古沢監督も「(自分たちでやり方を変えながら)中盤で前向けてパワーを持って前に運べたっていう部分が、後半凄く良かったかなと」と頷く。この後もセットプレーやワンツーでの崩しなどから3点目のチャンスを作る。だが、岡山学芸館のU-17日本高校選抜GK平塚仁(3年)の好守に阻まれるなど次の1点を奪うことができない。

 3点目を阻止した岡山学芸館が終盤に巻き返す。ともに交代出場の左SB持永イザキ(3年)のロングスローやFW香西健心(2年)の迫力のある動きで相手にプレッシャーをかける。そして45+2分、持永の左クロスを香西が頭で決めて1点を返した。だが、反撃の時間が遅く、その2分後に試合終了の笛。帝京長岡が悲願のプレミアリーグ昇格へ王手をかけた。

 帝京長岡は技術力と判断力を駆使した戦い方をベースに、年々できることを増やしてきている。1年前の選手権予選での敗戦やプレミアリーグプレーオフでの敗戦の悔しさもエネルギーに成長。古沢監督は「本当、練習を一生懸命やるあの子たちなので、あとは3年生が応援団として来てもらいましたけど、本当、一体感のある学年なので、そういう意味では自分たちの良さはゲームをこなせばこなすほど、出ていってるような感じです」と目を細める。

 その3年生たちがプレミアリーグプレーオフで初白星を獲得。一つ壁を破ったが、強敵・浦和ユースとの“参入決定戦”が残っている。橋本は「自分たちはプレミア昇格目指してるメンバー25名で来ていますけど、やっぱN2リーグ(新潟県2部リーグ)からプリンス(北信越) 2部までもう全部昇格決めてるんで(トップチームのプレミアリーグ昇格が決まれば、2nd、3rd、4thチームが昇格決定)。自分たちが勝たないと、他の110名ぐらいの部員の頑張りが犠牲になってしまうんで、その人たちの分までしっかり自分たちが上げて、全カテゴリー昇格を目指しています」。下のカテゴリーの選手たちの頑張りに応えるためにも、あと1勝。自分たちが勝ってプレミアリーグや各カテゴリーの昇格を帝京長岡全員で喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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