beacon

[MOM4554]鹿児島城西MF芹生海翔(3年)_コンバートで得点力が開花。J内定MFが見据えるのは“2つの歓喜”

このエントリーをはてなブックマークに追加

鹿児島城西高を勝利に導いたMF芹生海翔(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.8 高円宮杯プレミアリーグプレーオフCブロック1回戦 鹿児島城西高 2-1 新潟U-18 バルコムBMW広島総合グランド]

 一度、ボールを持ったら簡単には奪われない。パスを見せながら推進力溢れるプレーを繰り返し、チャンスまで持ち込んでいく。アルビレックス新潟U-18(北信越2/新潟)との一戦で圧倒的な存在感を放ち、2得点を生み出したのは来季からの藤枝MYFC加入が内定している鹿児島城西高MF芹生海翔(3年)だ。

「Jユースと対戦する機会が少なく、新しい感覚で挑んだので試合に上手く入れなかった。守備の圧、ボールコントロールなど全てがダメだった」。本人が反省の弁を述べた通り、前半の立ち上がりは決して満足の行くプレーではなかった。いつもは前線でターゲット役となるFW岡留零樹(3年)のポストプレーを中央で拾って、パスとドリブルを仕掛けていくが、この日は新潟の中央が厚く自由にプレーさせて貰えない。そのため、サイドで開いてボールを引き出そうとしたという。

 前半17分に生まれた先制点は、そうしたいつもとは違う工夫から生まれた。「中央の守備が固まっていて、サイドが起点になりそうだなと思ったので、いち早く動いた」という芹生は右サイドに開いて、GK橋口竜翔(3年)からのボールをコントロールすると、そのままPA右までドリブルで持ち込む。ゴール前へのパスから、MF山下慶人(3年)が打ったシュートはDFに阻まれたが、ファーサイドでこぼれ球を拾ったDF木原綾汰(3年)のクロスが、オウンゴールを誘い、先制点となった。

 2度目の決定機は1-1で迎えた後半10分。後方から入れたロングボールを岡留が落とすと、ダイレクトで豪快にミドルシュートを突き刺した。会場もどよめくゴールは、試合前に宿泊先のホテルで見ていたゴール集のおかげだという。「動画でああいうゴールをいっぱい見ていて、いざとなったら打てるように準備してきた。こぼれてきた瞬間見ていた形が頭に浮かんで、これだと思って蹴りました」。

 今季に入ってからの成長は著しい。「藤枝MYFCとU-18日本代表のトレーニングパートナーを経験して、一気に変わった」と話すのは新田監督で、今は「攻撃は自由にやっていい」と伝えるほど信頼は厚い。元々は攻撃色の強いボランチだったが、より持ち味を出しやすいよう夏以降はトップ下にコンバート。本人が「1個前のポジションに変わって得点の感覚が付いてきた」と胸を張るようにゴール数が一気に伸びた結果、16得点を奪ってプリンスリーグ九州1部で得点王に輝いた。

 元々の持ち味だったチャンスメークにも磨きがかかり、今はプロ内定選手としての貫禄すら漂っているが、現状に満足していない。「練習参加とかに行って自信が付いてきたとは思うのですが、日本一になるにはまだまだやらなければいけない。しっかり改善していきたい」。

 見据えるのは、2つの歓喜だ。プレミアリーグプレーオフを終えると、来週14日と15日には選手権予選の準決勝と決勝が待っている。「個人的にはプレミア昇格以上に選手権への想いが強い。プレミアを掴んで良い流れで選手権に行きたい。そのためには1回戦でいっぱい出た改善点を修正したい。必ず勝って選手権に繋げたい」。次戦も再び輝きを放つことができれば、2つの目標達成も見えてくる。

(取材・文 森田将義)
●高円宮杯プレミアリーグ2023特集
森田将義
Text by 森田将義

TOP