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7-0!鹿島ユースが「最高のゲーム」でプレミアリーグ復帰!

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鹿島アントラーズユースが7-0でプレミアリーグ復帰を決めた

[12.10 高円宮杯プレミアリーグプレーオフBブロック決勝戦 仙台ユース 0-7 鹿島ユース 広島広域公園 第一球技場]

 鹿島ユースが7-0でプレミア復帰――。10日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 プレーオフ Bブロック決勝戦が行われ、鹿島アントラーズユース(関東1、茨城)が7-0でベガルタ仙台ユース(東北、宮城)に快勝。19年以来となるプレミアリーグ復帰を決めた。

 圧巻の7-0。鹿島ユースが1年のラストゲームで最高の90分間を演じ、プレミア切符を勝ち取った。開始直後に“電光石火”とも言える先制点。前線のFW大山幸路(3年)が頭で右サイド前方のスペースへボールをそらすと、信じて走り出していたMF三沢大和(3年)が独走する。その右足シュートはGKに阻まれたが、こぼれ球をFW馬目隼乃介(3年)が右足でゴールへ沈め、サポーターとともに先制点を喜んだ。

 開始わずか15秒での先制点。鹿島ユースは球際の強度と切り替えの速さ、そして狙いを共有する声で相手と大きな差を生み出す。6分にも厳しいチェックでボールを奪取。ファウルを主張した仙台ユースの選手が足を止めてしまった隙を鹿島ユースは逃さない。動き出し速く左中間のスペースを突いた馬目の下へ、U-17日本代表候補CB大川佑梧(1年)からの縦パスが届く。そして、馬目は切り返しからの右足シュートを決め、2-0とした。

 柳澤敦監督は「立ち上がりから、自分たちは前から行こうというような気持ちで送り出したんですけど、 あそこで上手く点数が入って、仙台さんの方も少し崩れた部分もあったかもしれないし、自分たちにとっては、ラッキーな部分もあったんでそこが少し、今回のポイントかなという風には思います」と振り返る。

 鹿島ユースはFW大山を筆頭に前から迫力のあるプレッシングを継続。一方、体調不良などの影響でベストメンバーを組めなかった仙台ユースだが、MF各務剛良主将(3年)を軸にボールを動かし、左サイドの10番MF河野和真(3年)の仕掛けなどで対抗する。25分にはカウンターからMF松本康汰(3年)が独走。だが、チャンスを活かしきれない。

 逆に27分、鹿島ユースはMF壱岐健斗(3年)の左CKをファーサイドの大山が頭で決めて3点目。その後も連動したプレッシングで仙台ユースに前進を許さない。そして、相手の急所へボールを通すMF小倉幸成主将(3年)を中心にスペースへのパスとスプリントで相手に圧力を掛け続ける。

 鹿島ユースは45+2分、右SB池田健将(3年)が右サイドの高い位置でボールを受ける。大声で要求しながらサポートした小倉にボールが繋がり、クロス。これをニアの馬目が頭で合わせて4-0とした。

 前半から2人を入れ替えた仙台ユースも、後半は押し返す回数を増やして見せる。MF横山颯大(2年)がパス交換からゴール前へ潜り込んだほか、1年生FW古屋歩夢が前線で奮闘していた。だが、大川佑梧(1年)と坂本翔汰(3年)の両CBを中心に鹿島ユースの守りは堅い。ゴール前へ抜けかけたボールも的確なカバーリングを見せるMF長山翔真(3年)や左SB佐藤海宏(2年)、池田が処理。決定的なシュートを打たせなかった。

 鹿島ユースは16分、壱岐の左クロスを大山がDF頭上からのヘディングシュートで決めて5点目。「後半、より良いゲームしようって話していた」(馬目)というように鹿島ユースは点差が開いても足を止めず、攻守に走り続ける。39分にはGK岸野瑛太(2年)を3年生GK嶋田晄樹と入れ替え、その嶋田が相手セットプレーを処理すると、ベンチの選手たちも非常に盛り上がっていた。

 最後まで攻め続けた鹿島ユースは44分、交代出場のU-17日本代表FW徳田誉(2年)が豪快な右足ミドルを決めて6点目。45+4分には、小倉の好パスから右サイドのFW島田ビクトルゆうぞがマイナスのラストパスを通す。最後は徳田がターンからの左足シュートをファーのネットへ突き刺して7-0。柳澤監督が「1年間の目標だったプレミア昇格というところができて非常に嬉しいと思います。選手が最後に本当にまとまって、この一戦にかける思いも非常に伝わるゲームだったと思いますし、最後の最後で最高のゲームをしてくれたかなと思ってます」と讃えたゲームで後輩たちにプレミア切符をプレゼントした。

 柳澤監督は小笠原満男コーチ、曽ヶ端準GKコーチ、里内猛フィジカルコーチ、小室貴之トレーナーといった経験豊富なスタッフたちの力の大きさも口にしていた。その指導陣の下で選手たちは細部までこだわりながら力をつけてきた選手たちが圧倒的な強さを示してプレミアリーグ昇格。小倉は「本当に、3年間やってきたことが報われたので、素直に嬉しいです。結則だったり、本当に今、トップでも大事にされてるところが、自分たちはできていたと思うので、そこが一番大きかった」と頷く。

 そして、「自分たちは後輩のためにやったと言っても過言ではないので、(来年は)プレミア残留とかじゃなくて、本当に優勝して欲しいし、自分たちも望んでるし、1、2年生には、本当に良い選手たくさんいるので頑張って欲しい」と期待した。

 これに対し、1年生CBの大川は「(プレミアリーグは)厳しい戦いになると思うんで、もう今日・明日から、全員でもう1回いい準備して、来年、最初から優勝目指して、アントラーズらしいサッカーできれば良い」と力を込めた。この日負傷欠場したU-17日本代表DF松本遥翔(2年)や国体優勝メンバーでもある佐藤、徳田、大川ら下級生も強力な陣容。来年も先輩たちのように鹿島らしく結束して戦い、勝利を重ね、1年後はプレミアリーグファイナルで勝つ。

(取材・文 吉田太郎)



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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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