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ユース取材ライターの川端暁彦記者と森田将義記者が選ぶ「九州新人11傑」

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予選リーグで敗退した柳ヶ浦高(大分)のFW八尋馳(2年)も川端記者と森田記者が推薦する“九州新人11傑”に。

 KYFA男子第45回九州高等学校(U-17)サッカー大会(九州高等学校サッカー新人大会)は、神村学園高(鹿児島2)が12年ぶり3回目の優勝を飾りました。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長で育成年代からJリーグまで幅広く取材する川端暁彦氏と関西を中心にジュニアから大学生、Jリーグまで精力的に取材する森田将義氏は例年と同じく“九州新人”を取材。その両記者に“九州新人”で印象的なプレーを見せた11人を紹介してもらいます。

川端暁彦記者「この大会を初めて取材したときからもう20年近くが経ち、高校サッカーを巡る環境も様変わりしたように思うのですが、“九州大陸”の熱気は変わりませんね。他地域の指導者やスカウトが来ると、『新人戦でこんな激しくやり合ってるの!?』と驚くことが多いのですが、その中で輝いてくるタレントの個性の強さは九州ならではです。そのせいで、11人に絞るのはかなり苦労させられました」

森田将義記者「負けん気の強いチーム、選手が多く揃うことが九州というエリアの特徴。今年の九州新人でもガッチャンと身体同士がぶつかり合う音が聞こえそうなほど激しく戦い合う場面が多く見られました。そうしたバトルに挑みながらも、自らの個性を発揮してチームの勝利に貢献した選手を今回は選出。今年の高校サッカーシーンで主役になれる選手ばかりだと思っています」

以下、川端記者と森田記者が選出した11名

GK坊野雄大(大津高2年)
GKにコンバートされてから1年余りというのが信じられないレベルの落ち着きと安定した守備対応が光る。その背景にある並外れた努力を思うと、あらためて敬服させられる。今大会は正念場となった飯塚高戦でのPK戦でも大活躍。

DF田中佑磨(佐賀東高2年)
競り合い、対人など守備力の高さは西日本でも屈指。組み立て能力も備えたマルチな右SBは今大会でも安定感のあるプレーを披露した。「チームを成長させるために最大6試合できるようになったのは大きい」と収穫を話す。

DF五嶋夏生(大津高2年)
「うちのキャプテンは185cm以上が条件」と山城朋大監督が笑うように近年の大津は大型主将が特徴。一昨年のFW小林俊瑛(191cm)、昨年の碇明日麻(187cm)に続く五嶋も189cmの大型で、競り合いの強さと身体を張ったブロックで準優勝を支えた。

DF中野陽斗(神村学園高2年)
負傷者続出で難しいメンバー編成を迫られた今大会の神村学園だが、その状況で1年生CBが自覚を持ったプレーを見せたことは大きな収穫になった。タフな守りに加えてSBもこなす器用さも持ち、まだまだ伸びしろも十分。

DF古川聖來(国見高2年)
元々は守備力が武器の左SBだったが、同じポジションの先輩である木藤健太監督に「攻撃もできないと上には行けない」とアドバイスをもらい、今年に入ってから猛練習。今大会は積極的な攻撃参加からのクロスを繰り返し、成長の跡を見せた。

MF南創太(日章学園高2年)
大会を通じて最も評価を高めた選手だったかもしれない。「あこがれてきたのはメッシ」と語る左利きのドリブラーは、本家と同じく単なるドリブル小僧ではなく、パスの選択肢を持ちながらの仕掛けが魅力。ここぞの決定力も見せた。

MF兼松将(大津高2年)
184cmの高さを活かした空中戦は攻守で威力を発揮。嶋本の配置転換でパスの起点としての仕事もより求められるようになった今大会は、悪戦苦闘する展開もありつつ、同時に確かな成長も見せた。今年さらなる大化けに期待したい。

MF嶋本悠大(大津高2年)
左サイドハーフにスタートポジションを取りつつ、自在に中へ入って“10番”の仕事をこなした。180cmの大柄な体に確かな技巧を持ちつつ、同時に守備の強度も出していける万能型MFだが、今大会はフィニッシュでも凄味を見せた。

FW名和田我空(神村学園高2年)
日本高校サッカー選抜の活動があって遅れて合流も、3試合ともに決定的な仕事をこなし、存在感を見せ付けた。「『神村は守備が〜』と言われたくない」と切り替えのスピードや守備のハードワークでも奮闘。進歩の兆しをしっかり見せた。

FW山中大然(鵬翔高2年)
体調不良から復帰したばかりとあって万全な状態ではなかったが、持ち味のスピードを生かした抜け出しで好機を演出。小柄だが、「ベンチプレスにハマって、よく筋トレしている」ため、ボールの収まりもよく攻撃の起点としても機能した。

FW八尋馳(柳ヶ浦高2年)
「どのスポーツも基本的にはできる」と話すように売りは高い身体能力。スピードと力強さを生かしたドリブルと抜け出しで決定機を作るストライカーだ。今大会は2試合連続ゴールを含め、3点をマークし、その名を知らしめた。
川端暁彦
Text by 川端暁彦
森田将義
Text by 森田将義

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