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「負けてられない」FW古川公琉が決勝点!2チーム分の戦力、サブ組奮闘の飯塚が鳥栖U-18撃破

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後半32分、飯塚高FW古川公琉が右足ボレーで決勝点

[3.14 サニックス杯予選リーグ 飯塚高 1-0 鳥栖U-18グローバルアリーナ]

 2冠王者を追い詰めたチームは、“2チーム分の戦力”を持って新シーズンを迎えようとしている。飯塚高(福岡)が14日、サニックス杯国際ユースサッカー大会2024予選リーグ第2節でサガン鳥栖U-18(佐賀)と対戦。1-0で勝利した。

 飯塚は2年連続2回目の出場となった今冬の全国高校選手権初戦で青森山田高(青森)と対戦。後半残り6分で追いつかれ、PK戦で敗れたものの、プレミアリーグ、選手権の2冠王者となった名門校を追い詰めている。

 その新チームは、福岡県高校新人戦で初優勝。九州大会でもベスト8へ進出し、大津高(熊本)とPK戦までもつれ込む熱戦を繰り広げている。サニックス杯初戦は市立船橋高(千葉)に逆転負けを喫したが、注目MF吉田翔亮(2年)が先制点を決めるなど対抗。この日は市立船橋戦に出場したMF永田朔太郎(2年)やU-16日本代表MF保科剛(1年)、FW塚本一咲(1年)、FW新垣類(1年)といった主力組からターンオーバーしたメンバーで鳥栖U-18に挑戦した。

 鳥栖U-18は体調不良などで離脱していた選手が多く、コンディション面はまだまだこれから。それでも、DFラインからのビルドアップを徹底する飯塚の攻撃を高い位置で潰し、FW山村チーディ賢斗(1年)らが次々とゴールへ迫っていた。

 前半にはCKからCB池末徹平(2年)がクロスバー直撃のヘッド。飯塚はシュート数4対11というゲームだったが、GK小松洸士(1年)が好守を見せたほか、CB木下宗祐(1年)とCB森山大輔(2年)が中心となって良く相手攻撃陣に食い下がっていた。

 そして、0-0の後半24分、飯塚は右CKからゴールエリアへ飛び出したFW古川公琉(2年)がPKを獲得。チームメートから絶対的な信頼を受ける司令塔・MF松尾優輝主将(2年)の左足PKは枠を外れたものの、気持ちを落とさなかった。

 その飯塚は後半32分に1点をもぎ取る。木下の縦パスで古川がDFの背後を取り、GKの動きをよく見てからループ気味の右足ボレー。「(2月の)九州大会(新人戦)が始まってからずっと自分のコンディションがめちゃくちゃ悪くて、結構スランプっていうか、そんな時期に入っていて。こんな殻に閉じこもってても良くないってことで、『今日、思いっきりやってやろう』と思って朝から準備していました。(ゴールを決めた)その場面になった時は、もう考えるっていうよりかは、もう勝手に体が動いた感じで、『もう絶対決める』っていう気持ちでしてたら上手い感じに良いプレーができました」。2トップを組んだFW鶴元銀乃介(1年)と相手CB1人に狙いを定めて繰り返しアタック。「今のAチームの2トップ(塚本と新垣)が両方1年生。それは負けてられないなっていう。悔しかったんで」というFWは走り続け、最後に1点を取りきった。

 現時点でのサブ組のメンバーで鳥栖U-18に勝利。古川は「もうポジション争いをかける試合だと思ってみんな準備していた。みんな、めっちゃくちゃ気合い入っていましたし、勝因はやっぱり失点がなかったっていうところと、みんな最後まで諦めずに戦い抜いたところ」と微笑んだ。

 飯塚の中辻喜敬監督は九州新人大会もメンバーを固定すること無く、大きく入れ替えながら4試合を戦っている。「結局、毎日毎日は出力出せないので。高い出力の中でどれだけやっていくかっていうことやから。(1試合で)しっかり出力を出して、その中でどうするか。(プレミアリーグの)参入戦を考えたら、1日おきに90分ゲームがある。そういうことも考えて」24人のフィールドプレーヤーとGKに多くの出場機会を与え、競争と成長を促している。

 その指揮官はプレミアリーグ勢と戦っているサニックス杯でまだまだ質が不足していることを実感。選手権で青森山田相手に守備強度で渡り合っていたからこそ、攻撃のクオリティはトレーニングから重点的に求めている部分でもある。

「守備のところで強度を出すっていうことは十分できると思うんで、そこからいかにクオリティを上げるか。そこの勝負かなっていうのは、感じています。今年は特に攻撃のところのビルドアップや崩しのところ、ゴール前のところにこだわってトレーニングをしていますね」(中辻監督)。

 初挑戦するプリンスリーグ九州1部が簡単な戦いになるとは全く考えていない。細部までこだわって一戦必勝。古川は「県大会3個取るのと、プリンス(リーグ九州1部)で優勝してプレミア(リーグ)参入するっていうことがチーム目標なんで、そこは絶対に成し遂げたいって思っています。個人としては、去年と一昨年と原翔聖君(3年)がFWにいて、同じ9番。あの大舞台出て2大会連続決める選手なんで、そんな勝負強い、また相手CBが自分と対峙してめちゃくちゃ恐怖に感じるようなFWになりたいって思います」。現在の先発組も、サブ組も大きな差はない。「(先発を勝ち取るためにも)最後まで諦めずに、その一瞬一瞬に100%を出して全力で取り組んだら結果もついてくると思うんで、その一歩一歩手を抜かずに全力で頑張っていきたいって思っています」という古川は、ライバルたちと切磋琢磨しながらレベルアップ。試合を通して活躍できる選手になり、大舞台でチームメートとともにインパクトを残す。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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