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目指すは柔と剛兼備のエースストライカー、「日本一の15番」になること。昌平FW鄭志錫が強豪対決でDFの脅威に

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昌平高FW鄭志錫(3年=FC LAVIDA出身)は前半から際立つ動き。2ゴールに絡んだ

[4.13 プレミアリーグEAST第2節 昌平高 4-2 前橋育英高 昌平高G]

 柔と剛を併せ持つエースストライカーに、「日本一の15番」に、なる。昌平高FW鄭志錫(3年=FC LAVIDA出身)は前半から際立つ動き。「自分のところで思ったよりほぼ収まったんで。リズムを持ってこれたのかなと思います」と振り返ったように、その強さとキープ力でボールを収め続ける。

 前半45+1分には前線でボールを収めると、一気に右前方へドリブルで持ち込み、右足を振り抜いた。昌平はGK、DFからボールを正確に動かしながら前進する攻撃が主体だが、この日は前線で確実にボールを収める鄭を多用。前橋育英の最終ラインはU-17日本高校選抜のCB山田佳(3年)をはじめ、力のある選手が揃っている。だが、1対1で劣勢を強いられていた前橋育英は、ゴールキックの際にCBとボランチの2人がかりで鄭を抑えることを指示。それほど、背番号15は厄介な存在になっていた。

「普通にやればあれくらいできる。自分のポテンシャルは毎日上がってるんで、そこは自信を持って試合に挑みました。やっぱり自分の強み、ポストプレーだったり、体の強さ、収めるところだと思うんで、そこは結構自分の中で自信ありますし。それが今日、相手と対峙する上で上手くマッチしたのかなと思います」(鄭)

 その鄭は、中学2年時に知人の紹介、「高いレベルでやりたいなっていうのは常に思っていた」こともあり、中体連から昌平の育成組織であるFC LAVIDAへ途中加入。そして、FC LAVIDA、昌平で個の力、技術力を磨いてきたFWだ。「力だけじゃなくて、LAVIDA、昌平の特長の個人技っていうところもしっかり練習してきたので、柔と剛をうまく使い分ける選手になりたいです」というストライカーは強さで活かした動きだけでなく、ボールタッチの正確性や重心移動で局面を打開する巧さも見せていた。

 この日は前半12分に右サイドからのラストパスに飛び込み、鄭のシュートのこぼれ球からMF山口豪太(2年)が先制ゴール。また、2-2の後半33分には、鄭が右サイドから抜け出す。GKと1対1になると、十分に引き付けてからMF三浦悠代(3年)へラストパス。決勝点をアシストした。

 自らシュートへ持ち込んでも良さそうなシーンだったが、チームの勝利を優先。「去年からプレミア(リーグ)を経験させてもらって、1点の重みというか、1勝の重みていうのはほんと重いって感じてたので。自分で打ちたかったですけど、可能性高い方を選んで、それが結果に繋がったので良かったかなと思います」と頷いた。

 3月に元日本代表FWの玉田圭司監督が就任。技術面だけでなく、サッカーを楽しむことを学んだという。「楽しむっていうことを意識するだけでリラックスできたり、体の力が抜けたりするんで。それは自分にとって良かったかなと思います」。昨年は日本高校選抜のFW小田晄平(現東海大)というライバルがいた中で自分を十分に出せたとは言い難い。結果も物足りなかった。今年、最上級生となったことで責任感が芽生えたというが、力まずに楽しんでいることがプレーを好転させているのかもしれない。

 背番号15はFC LAVIDA時代から背負ってきた愛着のある番号だ。高校でも「ずっと1年生から15と付き合いさせて頂いたので、『今年も15がいいです』と伝えました」。この日は直訴して背負っている「15」で躍動し、チームに今季初白星をもたらした。

 リーグ戦での目標は2桁得点。「どんな劣勢でも自分が決めてチーム勝たせれるようなエースストライカーになりたいと思っています。『日本一の15になりたい』と思いますし。『昌平の15』と言えば自分の名前が出てくるように、それを印象つけられるように」と誓う。

 3月にはワールドカップ予選の日本代表対北朝鮮代表戦を現地観戦。岐阜MF文仁柱のプレーを見て、「感動しました」。文仁柱や元北朝鮮代表のFWチョン・テセ氏のようにJリーグで活躍して、国際試合で日本代表と戦いたいという夢がある。その夢を実現させるために結果も必要。一日一日成長し、昌平に白星をもたらし続けて自身の評価も勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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