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[MOM895]修徳MF関秀太(3年)_熱戦に終止符を打った渡欧を決意するアタッカー

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[11.16 全国高校選手権東京都予選A決勝 成立学園 3(延長)4 修徳 味フィ西]

 絶望的な気分になったと、試合後にヒーローは明かした。高校生活で最後になる可能性のある一戦に、先発出場できるのは11人のみ。そのメンバーから漏れた修徳のFW関秀太だったが「ミーティングのときにも『途中から、流れを変えたいときに行く』と言われていたので、スタメンじゃなくてもいいかな。出たら頑張ろうと思っていました」と、気にすることはなかったという。彼がどん底を味わったのは、自身がピッチに立ってからのことだ。

 2点を先行した修徳だったが、後半18分に1点を返される。その後、後半26分にピッチに送り出された関は「もう1点取れば、勝ち決定だな」と思っていたという。当然、その1点を狙ったが、試合の流れは成立学園に傾いたまま。後半35分、同37分と立て続けにゴールを決められてしまう。

 漫画スラムダンクの安西先生のイラストと「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」という言葉を携帯の待ち受け画面にしている岩本慎二郎監督を筆頭に、複数の選手が「あきらめなかったこと」を逆転勝利の要因に挙げた。関も「このままでは終われない」と気持ちを切り替えたというが、失点直後は「『負けたな』『どうしよう』と思いました」と感じたと振り返った。

 後半のロスタイムにセットプレーからオウンゴールを誘発し、同点に追いつくと、延長戦で関に見せ場がやってきた。延長後半3分、流れの中で右サイドに回っていた関はドリブルで仕掛けると、DFと接触をしながらも倒れずに右足のアウトサイドでシュートに持ち込んだ。

「足を掛けられたので転ぼうか迷ったんですけど、『転んじゃダメだ』と思ってシュートを打ちました。なんでアウトサイドで打ったのか、自分でもわからないんです。いつも左サイドでプレーしているので、めったに右から仕掛けることもないので」

 このゴールが決勝点となり、修徳は2年連続の全国大会出場を決めた。それでも岩本監督が「うちでポテンシャルは最も高い」と評すアタッカーには、壮大な夢がある。

「卒業後は、海外に行こうと思っています。選手権が終わってからエストニアに行って、現地のチームに練習参加していくつもりです。最初はドイツに行きたいと思ったのですが、ドイツの4部、5部に行くなら、ちょっと下のリーグでも1部で活躍して、徐々に上がって行ったほうがいい。小さい頃から、ずっとプロになりたかったし、自分からサッカーを取ったら、何も残らないので」

 プロサッカー選手として生きていく決意を胸に、関は最後の選手権に挑む。

(取材・文 河合拓)
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