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[MOM914]京都橘GK永井建成(3年)_運掴む努力も続けた熊本内定守護神、脅威のシュートセーブ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.14 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 瀬戸内高1-3京都橘高 広島広域公園補助競技場]

 被シュート19本。そのほとんどが枠を捉えていたが、京都橘の守護神、永井建成(3年)が瀬戸内アタッカー陣の前に立ちはだかった。至近距離からのシュートに対して身体が逆方向へ流れながらも驚異的な反応でゴールラインを割らせなかった18分のシーンをはじめ、39分にスルーパスで抜け出してきたFW小田駿介の決定的なシュートをわずかに触って枠外へかき出すなど瀬戸内にとって永井の壁を破るのは非常に困難なミッションに。PAからのシュートも危険な位置に弾くことなくキャッチし、クロスも鋭い飛び出しで阻止し続けていた永井については米澤一成監督も「建成の、永井の試合だった。前半だけで2、3本決定的なシュートがあった」と賞賛するほど、永井の存在感は際立っていた。

 昨年度の高校選手権でもその身体能力の高さを活かしたセービングでチームの準優勝に貢献。日本高校選抜候補にも選出された注目GKは今月12日にロアッソ熊本入り内定が発表された。「Jに行くことが決まって、点をやりたくないという思いがあった。余計集中してプレーすることができた」という永井は非常に高い集中力でゴールを死守。後半42分、負傷者が出たことでDFの足が止まった隙に1点を許し「点決められるGKはダメだと思う。味方が怪我して集中切れても、味方を動かしてシュートを打たせないのがGKだと思う」ととても悔しがっていたが、それでも永井なくしてこの日の勝利はありえなかっただろう。

「自分は『目立ちたがり屋って』いうか。GKってなかなか目立たないポジションなんで、(派手なセービングなど)そういうところから目立つのもあっていいと思うし、シュートを打たせないっていうのもGKの武器なんで。両方ともできるようにします」と目標とするGK像を口にする。すでに高校トップクラスの守護神であることは間違いない。ただ京都橘入学当初は「プロへ行けるとは思っていなかったです。行きたいとは思っていましたけれど」と明かすように自分を信じきることができなかった。

 それでも昨年度の選手権を経て変わることができた。選手権後は「選手権が終わってから私生活とかで運を逃していくのかなと思った。だから私生活から変えていきました。例えばゴミが落ちていたら、見て見ぬふりをしないでちゃんと拾って捨てたり、電車の中にゴミとかあったら、前は見て見ぬふりをしていたんですけど。(運を掴むためには)そういうところかなと意識しだして、やるようになりました。それがきょうの試合にも出たのかなと信じている」。現在はハイボールを磨くなど、もちろんトレーニングでも努力を続けているが、普段からの取り組みが彼に自信と力を与えている。

「本戦ずっと無失点で。去年取れなかった金を取って京都へ帰りたいと思います。そして(熊本の)サポーターの方々に認めてもらえるように安定してチームを助けられるようなGKになりたいです」と誓う選手権、プロ入りの前にまずはプレミアリーグ参入を決めること。「来年の後輩の分まで頑張ってやらなアカン」という守護神が星稜との強豪対決でもゴール前にそびえ立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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