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強風下でもノーミス完封!「来たボールに対処しようと」浦和GK西川周作がアジア頂上決戦で貫禄のMOM受賞

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浦和レッズGK西川周作

[5.6 ACL決勝 浦和 1-0 アルヒラル 埼玉]

 強風が吹き荒れる難しい状況の中、浦和レッズの守護神は的確なセービングでアジア王者のタイトルを掴み取った。「前半は風を読むのが難しかったけど、自然の力に逆らうのは難しいと思っていた。来たボールに対処しようと思っていた」。向かい風の前半も、追い風の後半も、近年ますますレベルアップを遂げているGK西川周作の安定感が失われることはなかった。

 無失点が義務付けられたアルヒラルとの決勝第2戦、最初のピンチは開始早々に訪れた。強烈な向かい風への適応に迫られていた前半4分、左からのクロスをゴール前に入れられると、FWオディオン・イガロの収めたボールがエリア内に。西川がなんとか飛び出してボールを追いやり、二次攻撃はDFアレクサンダー・ショルツのゴールカバーで難を逃れたが、さっそくヒヤリとする場面だった。

 もっとも西川にとって、この場面が試合への集中力を高めていた。FWアブドゥラー・アルハムダンに蹴られ、一時ピッチに倒れ込んだ西川だったが、「あの接触で目が覚めたというのが正直あった」。ピッチの中で決戦ムードに向き合うことで、ビッグマッチの重圧に順応していたようだ。

「決勝の舞台に立ってみて気づく部分が大きくて、試合前はいつも通りやろう、楽しんでやろうと思うけど、いざピッチに立つといろんなプレッシャーを感じている自分がいるなと開始直後に思った。(接触から)いつもどおりというのを自分に言い聞かせながらやれた」

 その後は「風が強くても慌てることなく、クロスボールも出られるボールは全部出てやろうと思っていた」と果敢な姿勢を貫いた西川は一方的に劣勢を強いられる中、ディフェンダー陣と共に集中力の高いプレーを継続。「あの接触から試合が楽しめた、入り込めたというのがあった」と、あわや負傷交代もよぎったアクシデントを前向きな機会に転換した。

 前半20分過ぎには相手のハイボール攻撃が猛威を振るったが、「連続してセットプレーとかサイドからの攻撃があったけど、あそこを凌げたのが一つポイントだった」と西川。「あの時間帯にみんなで声をかけた。『この時間帯がポイントだぞ、しっかり守ろうぜ』という話をしていたので、そこが大きかったと思う」。勝負どころを見極めるスキルでもチームを支えていたようだ。

 また前半42分にはMFアンドレ・カリージョ、後半45分にはイガロと嫌な時間帯に作られた相手の決定機には見事に立ちはだかった。「ポジショニングでしっかりと誘い込んだり、予測を立てられるポジションに立てていたので、慌てることなく対処できた」。昨季新たに就任したジョアン・ミレッGKコーチと取り組んできた成果を発揮し、決勝戦のマン・オブ・ザ・マッチに選出。「理由があるポジショニングを浦和レッズのキーパーチームはしているので、それが試合に出たと思う」。36歳でもなお成長する姿をアジアの頂点を決めるビッグマッチでも見せつけた。

(取材・文 竹内達也)
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