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[MOM3903]高松商DF柴村泰駕(2年)_「大会を通じて1番成長」、最終ラインの軸となった下級生

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高松商高DF柴村泰駕(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.11 インターハイ香川県予選決勝 高松商高 0-0(PK5-4)高松工芸高 香川県営サッカー・ラグビー場]

 シュート本数は高松商高が8に対し、高松工芸高が2だったが、試合内容に大きな差はなく、気を抜けば高松商がやられていてもおかしくなかった。勝った高松商には喜びの表情とともに、安堵の表情が浮かんでいた。「どっちに転がるか分からないゲーム展開だった」と川原寅之亮監督は振り返る。攻撃が上手く行かない状況でも、守備が最後まで集中力を切らさず無失点を続けたのが勝利の要因となったが、中でも大きかったのはCBを務めるDF柴村泰駕(2年)の存在だ。

 身長は177cmとCBとしては大きくはないが、タイミングの良い競り合いの強さが魅力。昨年のインターハイ予選でもスタメン出場を果たした実力者だ。学年が上がった今年は昨年から主力の顔触れが大きく変わったDFラインの主軸として期待されており、決勝でも期待に応えるパフォーマンスを披露した。

 低調な入りとなった前半の立ち上がりは、ボールを持ったら素早く前線に入れる高松工芸のアタックに手を焼く場面も見られたが、柴村を中心としたDF陣が冷静に対処。「自分たちのミスが多く、流れが変わっていったせいで、相手に勢いを持っていかれた。そこで失点しなかったのは良かった点。蹴られる瞬間にDFラインは2、3歩下げる意識を全員が共有していた。それで裏を取られる場面が少なく、そのセカンドボールも全員で拾うイメージでやっていました」。個人としても、武器であるヘディングで競り合いに勝利し続け、無失点の維持に貢献した。

 今予選の5試合で許した失点は、準決勝の寒川高戦での1点のみ。大会が始まるまで不安視されていたDFラインの不安定さを微塵も感じさせない出来だった。堅守に対する柴村の貢献度は高く、川原監督は「彼は大会を通じて1番成長してくれた。声を出したり、ストロングのヘディングを発揮してくれた。苦しい時に後ろでしっかり耐える姿が、この大会で凄く見えた」と称えた。

「試合が進んでいく事に成長していけたのかなと感じています。相手への対応だったり、ヘディングも少し前まではあんなに跳ね返せなかったけど、駆け引きでしっかり跳ね返せるようになった」。そう話す通り、柴村自身も成長に手応えを感じている。

 昨年の選手権前には、東山高と練習試合で対戦して大敗。中でもMF阪田澪哉(C大阪内定)は、「めちゃくちゃ足が速くて、足元も凄かった。ボコボコに抜かれた」という悔しい想い出がある。阪田のような強力アタッカーにも食らい付いて行ける自信が今はある。「全国に行ったら自分より強い選手がゴロゴロいると思うので、どれだけ自分が通用するのか試しながら、チームとして勝利を掴んでいきたい」。そう意気込む男なら、全国が舞台に変わっても輝くはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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